「ROCK AND READ 113」発売記念!MUCC トークイベント@タワーレコード新宿店レポート!
「ROCK AND READ113」発刊記念として表紙巻頭を飾るMUCCのトークイベントが6月25日タワーレコード新宿店にて、満員の観客を前に開催された。
3度目のメジャー・デビューとして「愛の唄」をリリース、現在(8月11日まで)サポートバンドを従えたツアー『MUCC TOUR 2024「Love Together」』中のMUCC、そのツアー関連の話題からトークはスタート、司会進行は俳優・ライターの山内秀一さんが担当。
山内秀一(以下山内):よろしくお願いします、(場内に向かって)もうツアーに参加した人は手をあげてください(かなりの人が挙手)。
逹瑯:全員だ、全員! 逆に参加してない人聞こうぜ。
YUKKE:やめなさいって。で、参加してない人?(場内爆笑)
逹瑯:そして、行く気もない人?(大爆笑)さすがにいない。
山内:まず、伺いたいのは、初の平日お昼公演について(6月10日Spotify O-EAST ※ワンマン昼公演)。
逹瑯:よかったね。
YUKKE:しばらく来れなかった人もまた観られる機会になったと思って。メイク順トップの俺が頑張ります(笑)。(場内拍手)
山内:メイク順はミヤさん、YUKKEさん、逹瑯さんですか?
ミヤ:メイクはだいたいYUKKEが最初。
逹瑯:俺は最後はイヤ。
YUKKE:俺は最初がいいんです。
逹瑯:リハが終わってメイクして──ライヴ直前までメイクをしてるのがイヤで。リーダー(ミヤ)はだいたい最後がいい人だから。
山内:バランスは取れてる。
ミヤ:そうなんだね、よかったよかった(笑)。
山内:一番最初って入り時間めっちゃ早いじゃないですか。
YUKKE:その時間の空気感が好きなのと、メイクさんの手がフレッシュなので(場内爆笑)。
山内:今回はサポートバンド有りのツアーで。最初はキズ、もともと交流のあるバンドですが、いかがでした? セッションは何をやったんでしたっけ。
逹瑯:MUCCのアンコール曲だったらやっぱりこれかなって曲で(「名も無き夢」)、一歩踏み込んだ選曲をしてくれててよかったなぁって思ってます。リーダーはギターのreikiを可愛がってる感じがするよね。
ミヤ:人間的に面白いっていうのは前からあったんだけど、演奏してこんなにウマが合う奴ってあんまりいない。
逹瑯:ステージ上の動きとか似てない?
ミヤ:そういうのもあるな、初めてシドの明希とセッションした時と似たようなものを感じた。同じところでジャンプしたり(笑)、プレイスタイルも遠からず近からず、影響を受けたギタリストが一緒だったりとか、すごく楽しかった。
山内:ベースのユエさんとは話はしましたか?(O-EASTワンマンのMCで、YUKKEはユエと話したいと語っていた)
YUKKE:たくさん話したし、終演後に軽く皆でご飯食べたんだけど一回だけじゃ全部掴みきれない奥深い男でしたね。
山内:サポートバンド有り2日目のNoGoDは旧知の仲だと思うんですけど。
逹瑯:でも、ほとんど対バンしてないからね。
ミヤ:NoGoDのライヴは見たことはあるけど、あそこまで振りが多いとは思わなかった、びっくりした。だからメタルバンドというより、いい意味でアイドルバンドを見てるような──初めての人でも楽しめる感じのことを団長はやってるんだっていうのが楽しかった。
逹瑯:“自分が中間管理職だ”って団長は言ってたけど、うちら世代のノリと、もっと若い世代のバンドのライヴハウス・シーンのお客さんのノリをちゃんと取り入れてるんだな──っていうのが新鮮だった。あいつ結構頑固だからオールドスタイルに行きそうなのに、ちゃんとそっちの感じに行ってるんだなぁって、面白かった。
YUKKE:ああいうサウンドのメタルバンドで横モッシュを最近よく見るんだけど、夢烏(ムッカー/MUCCファン)って横モッシュできるの?(場内に)できるんだ。
ミヤ:やるんだったらもっと面白いのやろうぜ。でもMUCCでやれる曲あるか?
逹瑯:踊りながらどんどん下に下がってからどんどん上がっていく。下がって上がるだけ、気持ち悪いと思う。
山内:あと個人的に気になってたのは、山形・仙台でのサポートバンド<甘い暴力>。今回の中では一番意外だった。
逹瑯:でも、すげぇ良かったよ。
山内:でもタイプ違いますよね?
ミヤ:違うかな? 俺は現代の密室系だと思うよ、マジで。
逹瑯:昔のcali≠gariがやってたイベントに出てそうなバンド、それが密室系なのかどうかわからないけど懐かしい感じ、その現代版でとっても良かった。
山内:これまでこういう接点ってあまりなかったですよね、甘い暴力とは。
逹瑯:俺の番組(『いじくりROCKS!』)でちょこっとゲストに来てもらった事はあったけど。その時の咲(さき)君の印象がとても良くて、音源を聞かせてもらって、すごくしっかりしてるバンドというイメージだったので、今回プレゼンさせてもらって決まった感じ。
山内:YUKKEさん、ミヤさんも<甘い暴力>のメンバーと会話されてどうでした?
ミヤ:今回まだ6公演しかやってないけど、一番音楽の話はしたかな。意外な接点があったりとか、好きな音楽が一緒だったり。甘暴(甘い暴力)はすごいキャラクターが強いけど、音楽のバックボーンがしっかりして──メチャクチャ上手いんだよ。ドラムとかあんなハチャメチャだけどすごく基礎がしっかりしていて、音楽の話が多かった。
逹瑯:世界観に振り切ってるバンドかなって思ったけど、ロックバンドだね。
ミヤ:ライヴになるとヴォーカルが、音源で出してるキャラクターよりメチャクチャ男らしい。そのギャップがカッコいい。
YUKKE:曲もすごくカッコよかったし、中間演出で茶番をやる所への情熱のかけ方が個人的に好き。しかもスタジオでしっかりリハーサルをするらしい。ヴォーカルの咲君とセッションさせてもらって、俺がベースソロを弾いてる最中ずっとこっちを見てるんですよ、すごい優しい目でキョトンとしてる顔の美しさが──すごく綺麗だった。
逹瑯:あとね、“咲っぽ”とLINE交換した(逹瑯のXで“咲っぽ”と命名)。咲っぽか咲っちょか迷ったんだけど。彼はSNSやらないから、もうこっちは言いたい放題。
山内:(笑)、ライヴ6本でもうここまで濃密になっていて、この後もツアーが続いていくわけですが、若手のバンドがMUCCに話しかけたい時はどういう風にすればよいのか──先輩バンドに話しかける場合とかミヤさんはどうされてました?
ミヤ:全然気にしたことないな。もちろんちゃんと挨拶はするけど、聞きたいことがあったらすぐ聞くし、なかったら何も聞かない(場内爆笑)。
逹瑯:俺もそうかも。
ミヤ:共通の趣味があると勝手に喋るかも。普段からそう喋るタイプじゃないけど、好きなこと、例えば釣りやキャンプとかの話は楽屋で延々としてるから。ま、そういうのがあったら話しやすいけど、話しかけてくれたら大人なんで話題を見つけてこちらから話しますよ。そうそう甘暴のギターは同じメーカーのギターを使ってたから、その話しようと思ってた。
YUKKE:俺だってGLAYのメンバーと初めて会った時は四人全員が丁寧に挨拶してくれたんですよ、あの時はウォーって思った。そういう色んなことを乗り越えてでいいと思います。
山内:貴重な機会だから話さずにいたらもったいないですものね。
逹瑯:俺は先輩に会った時に、この人にはこの話聞きたい!っていうのがあるから、それをいっぱい用意してる。そこから広がったりもするし。
ミヤ:いろんな人がいるから、リスペクトがあることは置いといて楽しみましょうよ…というスタンスが俺は好きかも。
山内:YUKKEさんはリスペクトを伝えられた時はどうですか?
YUKKE:単純に嬉しい、向こうもドキドキしながら言ってくれてるんだろううな──と分かって嬉しいですよ。
山内:この後一緒にやるCHAQLA.とか、まだ結成して2年経たないバンドがMUCCとやるのは想像しがたい。
逹瑯:だから、キズ、NoGoD、甘暴も、自分たちのキャリアの中の持っているタマ数で、どう戦おうかと、頭フル回転で持ち時間フル活用で戦ってくるわけ。キャリアの違いはあるけど、その時にしか出ない勢いとか世界観があるから、キャリア一年半の戦い方は見所があるんじゃないかな。
山内:今までと、これからのツアーで一緒にやるバンドで気になるバンドはいますか?
ミヤ:若手は置いといて、vistlipは対バンが多分10年ぶりくらいなんですよ。10年でどう変わってるか──変わってないかもしれないけど、それが楽しみ、俺はね。
逹瑯:まーったく想像できないのが<色々な十字架>さんですよ。どうなるんだろうなって。
ミヤ:あそこはエンタメじゃないですか?
YUKKE:個人的に、十字架さんはいい日にやってくれるなと思って。リーダー誕生日だし、面白いことを一緒にできそうな気がしていいゲストだと思う。
山内:ミヤさんをお祝いしたい気持ちはありそうですね。
ミヤ:ツアーは毎回セッションしていて、曲は対バンするバンドに選んでもらってるんだけど、十字架は“自分たちがコピーをしていた曲でやりたい曲がありますので、やらせてくれませんか”って速攻で来て、面白い感じになると思う。バンドによってメンバー個人が参加する場合もあれば色々ある。ドラムが参加するというのも、こちらのドラムがサポートだから可能、面白いと思う。
山内:まだまだツアーは続きますし、追加ワンマン公演も決まりました(8月10・11日のYOKOHAMA BAY HALL)。
ミヤ:はい。
山内:今回は3度目のメジャー・デビューということでMUCCが表紙を飾った「ROCK AND READ」の発売記念ですが、昨今こういった紙媒体が随分減ってしまいました。<紙媒体の存在>についてはどう考えられてます?
ミヤ:こういうフォーカスを絞った紙媒体って、その時のアーティスト写真のメイクにちょっとアレンジを加えてメイクをする、衣装もちょっと違う──というのが俺は好きで。バンドとしてもそういうのをやってきてたし、以前はよく見られたと思うんですけど、それが相当減ってるでしょ。ツイッター(X)でスッピンの写真を見せたり、ラフなバンドの写真を見る機会は増えてるけど、作り込んだ世界観で、違うカメラマンが違う状況で撮った写真から生まれる面白さが減ってきてると思うので、積極的にやっていきたい派です。今回はライヴの衣装もメイクも、アーティスト写真も再現しなくていいというコンセプトの撮り下ろし写真なので。
逹瑯:雑誌って作品性が高くて、やっぱり雑誌で育ち育てられてきた雑誌の楽しさを知ってる世代だから、それが無くならない内は楽しんでいければいいと思う。それが全然ない世代がこれからどんどん増えて来ると思う、そっちの子たちに“雑誌っていいんだよ”っていくら言っても、そこに思い入れがない人に思い入れを持たせるのは無理。だから違うものとして楽しんでいけばいいと思う、触れたい人は触れてくれればいい。インターネット、SNSで出てくるものは情報の方に振れてるから情報収集では雑誌は勝てない。逆に撮り下ろしの作品性はSNSでは出せないから、その住み分けでなんだろうな──という気がする。
YUKKE:昔は、毎月アーティスト写真以外に2~3本撮り下ろしていただいたし──今はないけど「プライド・ヴィジョン」って雑誌の、毎回コンセプトをがっちり決め込んだ撮影が個人的に面白かった。最近またフリーペーパーの発行や、「びじゅなび」(フリーマガジン「Visunavi magazine」を4月に創刊)もあるし、ああいう流れはいいなって思って見ています。
山内:雑誌はWEBと違ってすぐに跳べるリンクがないから、逆にじっくり噛み砕き咀嚼する時間がある気がします。
逹瑯:情報が流れないのがいいね、もう一度読み返そうとすぐ手に取れるし。でも、俺としては雑誌もこれ(スワイプ)したいのよ(場内爆笑)。これだけ、不満は。
山内:えー、時間があと少しなんですけど、これだけは聞いておきたいなと思ったのが、皆さんの中で「Love Together」ツアーは来年、再来年以降もやっていきたいものですか?
逹瑯:まず「Love Togetherというコンテンツは最初ツアーだけのイメージだったんだけど、イベントも含め同じタイトルになった時に(イベントは「LuV Together」名義)、これはコンテンツとして何かしらの形で残した方がよさそうだな──と思った、いい匂いを感じられるツアーを送れてるので。
YUKKE:どういう形に発展していくかはまだ未知数なところもあるんですけど、シーズン2があってもいいイベントだなと思う。
ミヤ:9月の主催イベント(9月16日「LuV Together」@EX THEATER ROPPONGI)も発表になったし。
山内:これから、世代が交わる──というのがトレンドになっていくのかもしれないですけど、その先駆けがやっぱりMUCCだったんだなぁって印象が個人的にはあります。
YUKKE:後輩をピックアップして一緒にやってみたりとかは、うちら世代でもいるし、その下世代でもあるし、いい流れだと個人的には思ってます。
山内: AN CAFE(アンティック-珈琲店-)は今年1月に一度活動を止め、しばらく休憩──だったのに今回9月のイベントに出る理由は?
逹瑯:もうやらない…とは言ってなかったみたいで、オファーをもらったから出ます──と。いや、こっちも一回キレイにまとまって(活動停止)いたのを知らなかったから。
YUKKE:だから発表した時にAN CAFÉでXのトレンドが賑わっていて、ファンの子たち喜んでるけど戸惑ってもいて、でもまた観れるからっていい盛り上がりはしてました。だからいいきっかけになったんだろうな。
山内:ミヤさんには前にちらっと“AN CAFEと対バンをしたい──”とお聞きしたような。
ミヤ:10何年か前に、同じ時期に活動してたバンドで、まったく対極のところにいたんだけど、活動してるフィールドはほぼ一緒だった。日本のヴィジュアル系が海外で流行りだした時期、海外ツアーも同じラインで、同じ時期、同じフィールドだったけど、音楽性が真逆っていうところ。で、ああ見えてスタンスが男っぽいというか、単純に言うと自分たちとは真逆の音楽性だけど、リスペクトがあるからオファーして対バンしてみたかった。一時代を作ったバンドではあるし──それに尽きるかな。
山内:「Love Together」ツアーは追加公演もあるし、今後のMUCCの未来につながるんじゃないか──というのは「ROCK AND READ113」をお手にとっていただいた皆さんはなんとなく察しているのでは──と思います。というわけでお時間になりました。皆さん本当にありがとうございました。(場内大拍手)
ROCK AND READ 113
A5判/208頁/定価1,430円(税込)/6月11日発売
ISBN:978-4-401-77237-7