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【DEZERT・千秋(Vo)】12月27日、来る日本武道館ワンマンに向けてこれまでの変遷と挫折、核心に触るインタビュー

“武道館に行こう”って言うことによってメンバーは俺のラブレターをどう受け取るんかな? って


──時系列的に言うと、昨年9月のLINE CUBE SHIBUYA公演を満員で迎え、そこで日本武道館ワンマンと日本クラウンからメジャーデビューすることを発表したじゃないですか。レコード会社が関わることも、ある意味では不自由ですか?

千秋:うーん、実際かなり自由なレコード会社ですけど、最低限の決まりごとはありますよ。でも、それが嫌だとは全く思わない。本当に嫌なら論理的に戦うけど、今は事務所も含め、みんな真剣に俺たちのことを考えてるってしっかりと感じてて。そのなかでやるべきことをやるのは全然自由じゃないけど、健全だと思う。不本意に流されないっていうのは大前提でね。その大事なバランスさえ失わなければ、人生不自由でいいんじゃないの? ってすげえ思うようになりましたけどね。

──表層的な自由/不自由論ではないってことですね。

千秋:不自由のほうが楽しい。

──今回、もう1曲新曲があるじゃないですか。自分が言われたい言葉を書くようになったのは、まさにこの曲もかなと思うんです。「私の詩」。優しいバラードなんだけど、誰かに対してレクイエムのようにも聴こえました。

千秋:うーん。まあそう思ってくれるなら、それでも全然って感じかな。人それぞれ捉え方は違うと思う。

──この「私の詩」の“私”ってぶっちゃけ誰なんですか?

千秋:私は私ですよ。

──一ノ瀬千秋っていう存在。

千秋:まあこれも俺に向けて歌ってるんでね。

──千秋さんから千秋さんに向けた歌。あるいは千秋さんの体を媒介して誰かが歌ってるのかな? なんてちょっと思ったんですよ。

千秋:あ、それで言うと“私”も“貴方”も一緒ですよ。だから「私の詩」。恋の歌でもないし、俺に向けての歌ですね。

──そう捉えるとまたスケールが変わって聴こえます。今回の『絶対的オカルト週刊誌』、これまでの楽曲も数多く収録されてますけど、印象深い曲はあります?

千秋:「遮光事実」かな。かなり初期に出してるんですけど、めっちゃええ曲やなと思いました。お客さんが10人とか20人ぐらいの規模の時に出してるって考えると、すごいなって個人的に思った(笑)。

──結成初期からワンマンライヴの重要な位置でプレイされていて、この珠玉のメロディは当時のDEZERTにおいては異色でもありました。『完売音源集-暫定的オカルト週刊誌②-』にも旧テイクが収録されていましたけど、今回は再録に至りましたね。

千秋:俺、アンダーグラウンドは好きじゃなかったですからね。正直パンクとかニューメタルっていわれている海外のものを知るのも遅かったし、基本はJ-POP。海外だとBackstreet BoysやBritney Spearsのようなポップなもので育ったからさ。なんか成り立ちとか振る舞いでアングラな感じって言われてたけど、俺の生まれた生活の環境ではアングラ要素はもともとゼロだったよ。今までそんな考えてなかったけど「遮光事実」があったから、いろいろできたんだろうなって。最初の分岐点な気もするね。

──メロウでちゃんと一般の人に届く音楽はもう活動初期にあったってことですもんね。今回収録されている曲たちは武道館に連れていきたい曲たちでもあるのかなと思ったんですよ。

千秋:全部、連れていきたいのは連れていきたいですよ。今回収録されてないものも含めて。でも、そうも言ってられないじゃないですか。それに今回で終わりじゃないし。「TODAY」とかも、俺は毎回、ライヴでやるまであんま好きじゃないですからね。曲としてやってる認識ないしね。「「切断」」に関してもただの歴史ですよ。これは大事にしなきゃいけない歴史があって。それをぶち破るほど俺は尖ってないっていうだけの話で。

──一時期「「切断」」やらなくなった時期あったじゃないですか。

千秋:あったね、一時期。

──あれは飽きてただけですか?

千秋:「「切断」」に関しては、なんでやんなかったんだろうな。ほかにやる曲がいっぱいあったからだと思うけど。

──むしろ「TODAY」のほうがやるかどうか結構気にする。

千秋:そうだね。「TODAY」をやるライヴとやらないライヴの認識がメンバーのなかでもちょっと違うから。それもある。

──でも最も分岐点になった曲とも言えますよね、「TODAY」。

千秋:今思えばね。出した時はうーんっていう感じだったけど。

──ギタリストのMiyakoさんは今回、加入前の曲を再録することにもなりました。彼が加入したのは、フルアルバムとしては『TODAY』の1作前の『「最高の食卓」』(2016年)のリリース直前でしたが、DEZERTにとってどういう時期だったと思いますか?

千秋:破壊の時期。すごい時期に入ったなと思いますけど。

──彼がバンドを繋ぎ止めてくれた部分はあるでしょうね。

千秋:当時はそう思ってなかったよ、当時はね。アイツのこと誤解していた部分が多いから俺が。コロナ禍になっていちばん思ったのが、アイツがいちばん心強いんだよね。みーちゃん(Miyako)に関してはやってあげられることって、SacchanやSORAくんと全く別のものだと思うの。みーちゃんはみーちゃんで思考回路が違うし、アイツはギタリストというよりバンドマンになりたいっていうのが強かったからね。例えばSORAくんとかSacchanは、初期からの歴史があるから話せるんだけど、それとも違う。DEZERTは、俺がギターから作る曲が多いから、当然俺の生んだフレーズを練習することが多いわけよ。ギタリストとして多分本当は嫌だよ、わかんないけどね。嫌なこともいっぱいあるかもしれないけど、いっさいそんな素振り見せずに今もずっと練習してるわけよ。まだ戦ってるアイツは。いちばんクールだし、いちばんアツい。

──実はそうですよね。

千秋:だから、アイツが加入するまでは、バンドのバランスとしてギタリストが必要だっていう所以もあった。けど、武道館って目標を一緒に掲げた時に、やっぱみーちゃんはすげーなと思うこといっぱいあったし、アイツは俺の隣にいてくれるだけでいい。我、関せずで打ち上げも参加せずに平気で帰る。俺はそんなアイツが好きだね。

──近年めちゃくちゃ頼もしいですよね。

千秋:バンドにああいう存在がいるから頑張れる。サボんないし。努力家だし。

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