【DEZERT・千秋(Vo)】12月27日、来る日本武道館ワンマンに向けてこれまでの変遷と挫折、核心に触るインタビュー

早く来てほしいよ、12月27日が。
──そしてようやく2022年、“V系って知ってる?powered by MAVERICK DC GROUP”ですよ。ドラムのSORAさんを中心に、DEZERTが旗振りをするという形になったじゃないですか。数々のレジェンドが降臨して、結果満員で。ヴィジュアル系を盛り上げようっていうテーマと同時に、若いバンドも頑張ってるんだっていうことも伝わってくる記念碑的なイベントでした。
千秋:あのイベントはオーガナイザーのSORAくんが必死に頑張ってて、ずっと大変で顔ゲッソリしてたから(笑)。実は、新しい世代がとか武道館がとかじゃなしに、とにかくなんとかして最後は俺がライヴでまとめなきゃいけないっていう使命感がすごかった。変なことできねえと。あそこで「全員死ねよ!」みたいなトガりはいらねえじゃんって話で(笑)。それはライヴハウスでやることだし、武道館っていう規模の会場は来てくれる人の数だけいろいろな思想があるでしょ。それは仕方ないことなんだけど、そこをちゃんとまとめないといけないなと。これもある意味では不自由なんだけど、自分にできるのはライヴと言葉でイベントをちゃんと終わらすことだから、それをすごく意識してた。
──開催に至るまでもSNSを中心に渋谷や都心部に巨大広告が出て、センセーショナルな動きでヴィジュアル系が現在進行形であることを提示することとなりました。その中心にDEZERTがいるっていうことに対して、フロントマンとしてはどう感じてました?
千秋:別に、中心にDEZERTはいなかったよ。いっぱい協力してくれた立派な方々や先輩たちのおかげだし、あくまでSORAくんが旗を振るっていうものだったから。ああいう形になったのはSORAくんと、関わってくれた方々の人望。そこにDEZERTは関係なかったと思うよ。でも、SORAくんがその動きをDEZERTに置きかえてるわけだから、メンバーはそれを裏切ることはできないじゃん。信頼関係だよね。そういうイベント。
──ということは武道館ワンマンが近づいたなっていう感触とも違ったんですか?
千秋:ないね。そもそも俺ね、武道館を近づくものだとして見てないから。素晴らしい場所だし、みんなが目標にしているシンボルなんだけど、墓場っつったら墓場だよね。だってDEZERTの場合は、武道館以上に行ける/行けない問題が出てくるから。武道館借りてライヴやるぶんには、ある程度誰だってできるんだから。やるだけじゃ意味がない。2022年の“V系って知ってる?powered by MAVERICK DC GROUP”の段階では、内容とかは頑張ったらできるとしても、付随する実力がまだバンドに不足してると思ってたよ。全然、無理だと思ってた。
──そうなんですね。本編のトリも務め、気運の高まりは感じていましたが、そこから時を経て今はいかがですか?
千秋:ううん。まだ無理だなと思ってるよ。お客さんが1人だろうが1000人だか、8000人だろうが武道館でライヴすること自体はできるでしょ。でも、ライヴをすることだけを目的としてやってないから。武道館ワンマン自体がこれからのバンドの活動における大きな一歩っていう認識。誰だってあるでしょう? 大きな一歩や分岐点が。そういう時に一歩踏み出せたかどうかで選択肢が増えたり、はたまた選択肢がなくなったりする可能性だってあるわけよ。武道館は思い出作りライヴではなく、これまでにも何度かあった分岐点がまた来たんだと俺は思ってるから。だから、武道館に立てる能力があるとか別に思わないし、当日も立ってる実感なんて多分ない。涙することなんて絶対ないと思うし、嬉し涙も悔し涙も流すことないよ。
──言いきりますね。
千秋:それはさ、うちのメンバーはみんな武道館が分岐点だってことをわかってるから。涙なんかないよ。もしかしたらSORAくんあたりが大号泣してる可能性はあるけど(笑)。俺的にはそういう場所なんだよね。イキってるように思われるかもしれないけど、武道館自体を大切な場所だと思ってないからね。そもそも武道をする場所だもん。ただ、武道館という“目標”が大事。
──ということは、2019年12月のクアトロで「2年後に武道館をやる」って言った時からおよそ5年経った今も、千秋さんのなかで武道館というものに対する認識は変わってないんですね。
千秋:変わってないよ。結局変わってないんだよ。2021年頃、意識に変化はあったけど、それで近づきも遠のきもしなかった。俺たちにとっては、“武道館という場所”じゃなくて“目標”が必要だった。この5年間、全員その目標が変わらなかったってことはすごくいい目標だったんだなと思う。
──徐々に迫ってきていますが、ここから変化が生じるのかも気になるところです。どんなライヴになるでしょうか?
千秋:約束はできるよね。俺らは、人に見せて恥ずかしい人生を送ってないという自負はあるわけ。俺は、ヴィジュアル系とか関係なく、人生を見せてるんですよね。まぁ、お前の人生なんか見たくねぇよっていうヤツがいるんだったら来なくてもいいし。でも自分が生きてきて、少なくとも昔の自分に胸を張って伝えてあげられる言葉があるんですよ。自分に誇りを持てるようになったんです。自分の性格とか基本的な部分はやっぱりまだ嫌いだけど、それをこうやって言えるようになったのは、ある種堂々と胸張って自分のことをリスペクトできるようになってきたからなんですよ。クサい言葉であれ、汚い言葉であれ、全部において責任を取れる。今回この武道館という通過点に向けてめちゃくちゃ準備してきたわけよ。だから俺は自分に伝えてあげたい言葉を、その日は確実に曲に乗せて言える。バンドと俺の言葉を信じたファン、メンバー、スタッフの前で。約束の地、みんなが特別だと思う場所でそれを言う。
──あの苦悩の2019年からここに辿り着いたことに感慨もありますし、まさにDEZERTというバンドの人生の一つ結実ですね。
千秋:震えて待て、と。自信はあるよね。ここで滑るようじゃ、それまでの男だったっちゅう話ですよ。
──2017年頃に一度はレコーディングされていた名曲「オーディナリー」のCD付きだそうで。今回ついに届けられることになりますね。
千秋:これは約束しちゃったから。俺、お客さんといっぱい約束してるからそれを叶えますよってことです。
──かなり昔は音源化する前の「Ghost」を配布したいっていうメンバーさんもいて、そう考えると、メンバーによって武道館を意識し始めた時期は違うのかもしれないですね。
千秋:そうだろうね。それぞれ今までやってきた歴史と絆があるからチャレンジできるものだと思う。音楽というものでの自己表現を人生を賭けてやってるから。俺たちにはこれしかないわけよ。多くの人はその自己表現のなかで武道館を目指していると思うんだけど、俺たちはもうその先を見ている。そのためにここで踏み出す一歩が大事。早く来てほしいよ、12月27日が。
──千秋さん、最後に一つだけ。“生きててよかった そう思える夜”には出会いましたか?
千秋:出会ってない!
取材・文:山内 秀一
写真:Megumi Iritani

LIVE
■DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」
2024年12月27日(金)日本武道館
OPEN 17:30 / START 18:30
(問) SOGO TOKYO 03-3405-9999
【チケット料金】
全席指定 ¥6,600(税込)
※未発表音源「オーディナリー」CD付き
※営利目的の転売禁止
※未就学児童入場不可
DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」
特設サイトはこちら >> https://dezert-budokan.com/
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■DEZERT Presents 【This Is The "FACT"】 TOUR 2024
2024年10月5日(土) 名古屋DIAMOND HALL vs lynch.
2024年10月20日(日) 大阪BIGCAT vs Sadie
2024年11月15日(金) Zepp Shinjuku vs MUCC
<チケット等詳細> https://www.dezert.jp/news/detail/28549
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■DEZERT PARTY Vol.15
11月1日(金) 恵比寿 LIQUIDROOM
出演:DEZERT、ΛrlequiΩ、deadman、メリー、RAZOR
■DEZERT PARTY Vol.16
11月2日(土)恵比寿 LIQUIDROOM
出演:DEZERT、LM.C、Royz、Verde/(Shou)、vistlip
RELEASE
2024年9月25日(水)発売
DEZERT NEW ALBUM
傑作音源集「絶対的オカルト週刊誌」
・初回限定盤:2CD+Blu-ray(3枚組)CRCP-40686/87 ¥11,000(税抜価格 ¥10,000)トレカ5枚封入
・通常盤:2CD(2枚組)CRCP-40688/89 定価¥4,400(税抜価格 ¥4,000)トレカ1枚封入
※トレカは全15種類のランダム封入となります
■CD収録内容 ※初回限定盤・通常盤共通
<DISC-1>
-心臓編-
01. 「絶蘭」 (Re-Recording)
02. 心臓に吠える ※新曲
03. 「誤解」 (Re-Recording)
04. 胃潰瘍とルソーの錯覚 (Re-Recording)
05. 「遭難」 (Re-Recording)
06. ミザリィレインボウ
07. ミスターショットガンガール
08. 蝶々
09. Call of Rescue (2024 Mix)
10. 遮光事実 (Re-Recording)
11. 「秘密」 (Re-Recording)
12. 「変態」
Bonus Track. デザートの楽しいラヂオ ~心臓ドロドロ入院編~
<DISC-2>
-脳味噌編-
01. 脳みそくん。 (Re-Recording)
02. バケモノ
03. 「君の子宮を触る」 (2024 Mix)
04. Sister (Re-Recording)
05. カメレオン
06. 大塚ヘッドロック (Re-Recording)
07. 「殺意」 (Re-Recording)
08. Thirsty?
09. 私の詩 ※新曲
10. 「遺書。」 (Re-Recording)
11. TODAY
12. 「切断」 (Re-Recording)
Bonus Track. デザートの楽しいラヂオ ~脳味噌トロトロ退院編~
■Blu-ray収録内容 ※初回限定盤のみ収録
DEZERT LIVE TOUR 2024 “The Heart Tree” 【TOUR FINAL】 -僕等の夜について編-
2024.6.22 三郷市文化会館 大ホールを収録 <全22曲>
関連リンク
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