【鐘ト銃声】ライヴレポート<鐘ト銃声 4周年単独公演>2024年10月29日(火)Spotify O-WEST◆熱狂の4周年ワンマン!

ビジュアル系の新勢力としてジワジワと動員を伸ばしている鐘ト銃声。
白塗りメイクで暗黒レトロな世界観を打ち出し、熱狂的なファンと共に作り上げる荒ぶったライブは強烈なインパクトを放つ。
メンバーは狂ヰ散流(Vo)、百合子(G)、潤-URU-(B)、詠真(Dr)の4人。
そんな彼らが10月29日、Shibuya O-WESTでワンマンライブ“鐘ト銃声4周年単独公演”を開催。
ファンと共に勢いのあるパフォーマンスでアニバーサリーを祝った。ここではそのライブの詳報をお伝えしよう。
当日は雨に見舞われたものの、会場には気合十分のファンが多数集結。新規ファンの姿も多かったようだ。
会場に足を踏み入れると、BGMには物悲しいシャンソンが流れ、ステージのドラムセットの両脇にはガイコツ標本が飾られている。
ハロウィン時期とも重なるような退廃的な演出だ。
18時半の開演時間と同時に場内が暗転してライブがスタート!
不穏なサウンドのBGMが流れる中、白衣に血しぶきがペイントされた衣装でメンバーが登場。
ちなみに血しぶき衣装はバンドマンにとっても不動の人気アイテム(90年代後半~2000代初頭にかけ、La'Muleによって一気に広まった)。
王道の衣装でビジュアル系へのリスペクトを表しながら、バンドが選んだ1曲目は「木枯らし」。冒頭からヘドバンが巻き起こり、場内はヒートアップ!
しかし、彼らの激しい楽曲にはメロディアスな要素も格納されていて、「木枯らし」でも解放感のあるサビでしっかり聴かせてくる。
サビでは観客もジャンプで応え、バンドは早くもライブのノリを掴んだようだ。
この前半ブロックでは「午前0時の匿名希望」「東京都無職 小林アキヒコ(28)」などの闇深い歌詞がクセになる人気曲も次々に投下していく。

中盤にさしかかっても、バンドは手を緩めず、強力な攻め曲でフロアを揺らせていく。そんな中、「sadistic boy」が終わったタイミングでMCへ。実はここで長めのMCを入れる予定ではなかったものの、ドラムの詠真がハンパない熱量でプレイしたため、「ドラムのペダルがバラバラに壊れた!」と申告。機材対応のため、メンバーがトークすることに。急遽儲けたMCタイムではあったが、ここで彼らは4周年を迎えられたことについて、ファンにしっかり感謝の思いを伝えていた。
機材修復が完了したところで、「灰景の空」へ。緊張感とキャッチーさが混在する、複雑で個性的な楽曲だ。そして狂ヰ散流の狂気が炸裂する「残雪の春」では観客をグッと引きつけ、続く「五月花(躑躅)」では、アップテンポの歌モノ曲でメリハリをつけていく。ただ暴れるだけの曲でないところに、鐘ト銃声の深みがあるのだ。その後、ヘヴィーなリフが秀逸なロックチューン「秋葉原〇×丁目」で再び熱量を上げていく。
ここで2度目のMCタイムへ。本来このタイミングで4周年の足跡を振り返る予定だったらしいが、詠真のトラブルで前半、長めにトークしてしまい、メンバーのネタは枯渇気味(苦笑)。それでも「あったまってきたね!」と狂ヰ散流が笑顔で観客に語りかけ、潤-URU-は「Shibuya O-WESTのてめぇら!」と煽るもズルズルと滑っていくヌルめのキャラを披露して観客をなごませた。

さぁ、ここからは後半へ。
メンバーコールで助走をつけたあと、「紋白蝶」で体力勝負のブロックに突入。
潤-URU-はベースのストラップが外れても、楽器を交換せずに弾きまくり、百合子は黒髪の姫カットを揺らせて熱いフレーズを奏でる。彼が時に奏でるクリアなギタープレイは爽快だ。このあたりの泣きメロも鐘ト銃声の魅力と言えるだろう。
そして、ペダルを崩壊させた詠真も、加減することなく激しいリズムを刻む。

「ゴミの日」「東京解放区」など、超攻撃的な楽曲では観客全員が狂おしいまでのヘドバンで迎え撃ち、人気曲「はあと」では振りで会場の一体感が生まれたりで、ライブは佳境へ。狂ヰ散流は「(O-)WESTでやってみたかったんだよね」と本編ラストの「私ノ死ニ方」でステージを下り、フロアへ突入。観客を左右に分け、“ウォール・オブ・デス”状態で自らもフロアでもみくちゃに(これは彼らのライブの名物風景)。このガチのぶつかり合いは鐘ト銃声のライブに欠かせない瞬間だ。
カオティックなノリで本編は終了したが、観客はさらなる熱狂を求めてアンコールを要求。
その声に応えて、メンバーはグッズTシャツや、パーカーに着替えて再びステージへ。ここでそれぞれが思い思いに観客に語りかけた。
潤-URU-は、ストラップがはずれてもベースを弾きまくったパフォーマンスをスタッフに「最高にロックでしたね!」と言われたそうでドヤ顔を見せ、「5周年もみんなでライブを作っていきたい」と発言。
詠真は4周年を振り返り「いろいろあったけど、いちばんキツかったのは今年の春ツアー(笑)」と、新曲を多数投入した過酷なツアーを振り返る。
その多くの曲を生み出したメインコンポーザーの百合子は「O-WESTでやらせてもらって、(みんなにも)集まってもらってありがとうございます! これからも未来に向かってレッツゴー!」とテンション高めのコメント。
狂ヰ散流は「今ってすぐ終わっちゃうバンドもいる中、4周年ってすごいと思う」と、メンバー4人で前進し続けていることを感慨深げに語った。

この挨拶のあとは、驚くほどポップな名曲「君がきこえる」から圧巻のヘドバンを巻き起こす「さつき」など、落差のある楽曲で勝負をかけていく。
大ラス曲の「赤いリズム」では、狂ヰ散流に加え、潤-URU-もフロアに降りてライブのクライマックスをファンと楽しんだ。
神出鬼没の狂ヰ散流は何と2階席にも出現。2階席のファンや1階フロアのファンにも檄を飛ばしてステージに戻っていった。
こういう場面を見ると、ライブとはバンドとファンで作り上げられるものだと実感させられる。
終演後には2025年にアルバムのリリースやツアー、そして2025年10月27日にはツアーファイナルとなる5周年ワンマン公演を恵比寿リキッドルームで開催することも発表。
早くも1年後のスケジュール告知となったが、彼らなら凄まじいスピードで成長してくれそうだ。グレードアップしたキャパでのライブをバンドとファンはどう作り上げていくのだろう。
歴史はまだ浅い彼らだが、成長期にあるバンドの活動は最も面白い時期でもある。
この冬はメンバーの生誕公演を含め、ライブ予定も多い彼ら。機会があればぜひチェックしていただきたい。
鐘ト銃声の進化は2025年も止まらないはずだ。
文:海江敦士
写真:折田琢也
LIVE

2025年10月27日(月)
鐘ト銃声 5周年記念単独公演
恵比寿LIQUIDROOM
関連リンク
【鐘ト銃声 OFFICIAL】
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