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【PENICILLIN】ライヴレポート◆2025年2月9日(日)新宿ReNY◆バンド結成とバレンタインデーを記念して開催され、新宿ReNYを埋めたオーディエンスを2夜に亘って魅了したPENICILLINのスペシャル・ライブ!

 結成日が1992年2月14日だったことにちなんで、バンドの誕生日とバレンタインデーを記念するスペシャル・ライブを毎年2月半ばに行なっているPENICILLIN。2月8日・9日の2日間に亘って新宿ReNYで開催された。両日揃って多くのリスナーが会場に駆けつけたことからはファンの方々が年に1度のこの特別公演を心待ちにしていることが伝わってくるし、<HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL>がPENICILLINの恒例行事として深く根づいていることがわかる。

 ファンの期待を裏切ることなく、今回の<HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2025>も強く心に残るライブとなった。そんな同公演の2日目の模様を、お届けしよう。

◆     ◆     ◆     ◆     ◆

 暗転した場内にヘヴィなオープニングSE「絶対零度」が流れ、ステージにPENICILLINのメンバーが姿を現した。客席から熱い歓声と拍手が湧き起こり、ライブは「JULIET」からスタート。黒いロングコートに身を包み、退廃的なオーラを発しながら抑揚を効かせた歌声を聴かせるHAKUEI。ブラックの派手なパーカーに白キャップというストリート系ファッションとホットかつメタリックなギターワークの取り合わせが印象的な千聖。“猫耳のついたベレー帽+クラシカルなロング・ジャケット”というキュートないで立ちでスクエアなドラミングを展開するO-JIRO。異なった3つの個性がひとつになることで生まれるケミストリーは本当に魅力的だし、力強く疾走するサウンドも心地よさに溢れている。場内のボルテージは一気に高まり、ライブは上々の滑り出しとなった。

 その後は“激と哀、そしてセクシー”の3つの対比を活かした「BLACK HOLE」、クールでアッパーそして歌中と心に響くサビを配したあの「ロマンス」を続けてプレイ。荒々しさとキャッチーさを巧みに融合させた「JULIET」も含めて、相反する感情を内包させた楽曲をオープニングに並べたPENICILLINのセンスの良さは抜群といえる。ただ激しくいきあげる平坦なパターンとは異なった奥行きのあるロック・テイストは絶妙で、深く心を惹き寄せられずにいられなかった。

 3曲聴かせたところで、HAKUEIが「こんばんは、PENICILLINです」と挨拶。「昨日と今日はバンドが33才といういう結成記念とバレンタイン・ライブで、ございます。昨日観にきていただいた方、または配信でご覧になった方はわかると思いますけど、昨日は特に意味もなく、“衣裳は黒以外で”という感じでしたね。今日は、自分は『赫赫』(2003年)の頃を再現しようと思ったんですけど、当時の衣裳とかを覚えていなくて。今も残っているのかどうかも、わからなくて。黒のロングということだけなんとなくわかったので、こんな感じにしました」(HAKUEI)
「今日の俺は『FLOWER CIRCUS』(2004年)のイメージだけど、雰囲気の再現率が高いだけでね。正直言うと、あの時着ていたものは全部なくしちゃった(笑)。あの時のは…もうない。O-JIROさんの衣裳は、本物?」(千聖)
「僕は上着だけ、そのものです」(O-JIRO)
「その衣裳は『hell bound heart』(2005年)ですよね」(HAKUEI)
「そう。なんか、ドナルドの口みたいなサンバイザーが本当はあったんですけど、なくなっちゃいましたね」(O-JIRO)


 楽曲を演奏している時のシリアスな表情とは違ってリラックスした雰囲気で話すメンバー達の姿に、客席からは何度となく笑いや拍手が起きていた。素顔のメンバーに触れられるのはPENICILLINのライブの魅力になっているし、彼らの歴史を感じさせるヴィジュアルを味わえることは<HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL>ならではのポイントといえる。

 続くセカンド・ブロックでは、寂寥感を湛えた「冷たい風」やソリッドなヘヴィダークネスと訴えかけるようなHAKUEIのボーカルをマッチさせた「墓標」、翳りを帯びた「Imitation Love」などが届けられた。痛みや哀愁などを表現したナンバーを並べていながら極端にウェットになることなく、エモーショナルな空間を構築する辺りは実に見事。繊細さと激しさを巧みにバランスさせた楽曲とメンバー全員の秀でた演奏力により生まれる説得力は圧倒的で、場内を埋めたすべてのオーディエンスがPENICILLINの世界に浸りきっていることが如実に伝わってきた。

 その後は千聖とO-JIROのMCコーナーへ。「33周年とバレンタインデーのお祝いということで、素敵ですね。こうしてPENICILLINで33年やってこなかったら、今日のバレンタインとかも別になんでもない日だったさ。今日ここに立っているから、“ああ、チョコあげようかな”とか思ってくれる人がいるわけで。だから、2つをお祝いできるというのは、この人生の中ですごく幸せなことだと思っています」(O-JIRO)
「面白いよね。今日の俺は『FLOWER CIRCUS』だけど、『FLOWER CIRCUS』の時は結構HAKUEIもO-JIROも、みんな衣裳がナチュラルめというか…。あ、でも『Limelight』(1997年)程じゃないけど(笑)。『Limelight』は凄いよね。究極のナチュラル。全然ヴィジュアル系じゃない(笑)。ナチュナチュしてるよね(笑)。でも『FLOWER CIRCUS』もかなりナチュラルで、その次のアルバム『hell bound heart』では着ぐるみになっている人(HAKUEI)がいて…という非常にこのバンドは振れ幅が大きい(笑)」(千聖)
「あのHAKUEIさんの衣裳は、脱いでもカッコいいんだよね。なんか、ベルトみたいな服を着ていなかったっけ? 脱いだら桃太郎みたいに“裸でポーン!”とかじゃないんだよ(笑)。ちゃんと脱ぐことも予想して考えられた衣裳なんだよね」(O-JIRO)


 千聖とO-JIROの息の合った軽妙なやり取りでオーディエンスを和ませた後は、再びシリアス・モードにシフト。グラデーションを帯びた翳りを纏った「飛翔遊戯」や、オープニングはヘヴィだが曲中はスピィーディ且つ“尖り”を感じさせる「GLAMOR VETTE」、HAKUEIの力強いボーカルとテクニカルなフレーズを熱く紡ぐ千聖のギター・ソロ、O-JIROが叩くタイトなリズムが折り重なって気持ちを駆り立てる「桃色gene」などが演奏された。自身の内側へと降りていくような感覚のセカンド・ブロックを経て、そこから徐々に力感を増していく流れが決まり、オーディエンスのボルテージはどんどん高まっていった。


 HAKUEIの「さらに盛り上がっていきましょう!」という言葉に続いてライブは後半へ。キャッチーなメロディーとO-JIROのスピーディーなドラミングを配した「KISS」やHAKUEIと千聖によるツイン・ボーカルを用いたラウド・チューンの「Justice」、センシティブな歌中から躍動感を放つサビに至るというドラマチックな構成が光る「NO」などが畳みかけるように演奏された。感情に揺さぶりをかけてくるサウンドとメンバー全員が織りなす華やかなパフォーマンスにオーディエンスも熱いリアクションで応え、場内が熱気と一体感に溢れた状態で本編は幕を降ろした。

 アンコールではステージにケーキが運び込まれて、ケーキに立てられたロウソクの灯をメンバー全員で吹き消す姿を披露。さらに、HAKUEIがmachine(HAKUEIとhide with Spread Beaverやmedia youth等に在籍し、現在はMADBEAVERSで活動しているギタリストKiyoshiによるユニット)を再起動させることを告げたり、千聖によるPENICILLINの今後の活動予定の告知などを行って、大いに客席を湧かせた。

 その後は、爽やかな「orb」と退廃的な「DEATH DANCE」をプレイ。ライブを通して多彩な表情を見せ、オーディエンスの様々な感情を喚起させるPENICILLINのライブは唯一無二の魅力に満ちている。「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」が演奏された(配信では放映されなかった)ダブル・アンコールも含めてライブ終盤の盛り上がりは圧巻で、PENICILLINがステージから去った後の場内は完全燃焼ライブならではの爽やかな余韻に包まれていた。

 今回の<HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2025>でバンドの33周年とバレンタインデーを祝うと共に、いい形で2025年の幕開けを飾ったPENICILLIN。2デイズ形態を活かして、より多彩かつ力感を押し出した初日とPENICILLINのダークな側面にスポットをあてた2日目というテイストの異なるライブを行い、どちらもハイ・クオリティーだったのはさすがの一言に尽きる。

 ベテランにふさわしい秀でた演奏力や表現力などを備えつつ結成当初から変わることのない特異な存在感を併せ持った現在の彼らは本当に魅力的だ。そんなPENICILLINだけに、今後の動向にも大いに注目していきたい。


写真:折田琢矢
取材:村上孝之

SET LIST

PENICILLIN HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2025
2025年2月9日(日)
東京・新宿ReNY

SE 絶対零度
1 JULIET
2 BLACK HOLE
3 ロマンス
4 冷たい風
5 墓標
6 太陽
7 Imitation Love
8 飛翔遊戯
9 GLAMOR VETTE
10 ハル
11 桃色gene
12 KISS
13 Justice
14 No

« ENCORE 1
15 orb
16 DEATH DANCE

« ENCORE 2
17 FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE

LIVE

PENICILLIN
関東サーキット2025

5月16日(金) 埼玉・西川口Hearts
開場18:30 / 開演19:00

5月17日(土) 神奈川・横浜ReNY β
開場17:00 / 開演17:30

5月25日(日) 千葉・柏PALOOZA
開場17:00 / 開演17:30

5月30日(金) 東京・新宿LOFT
開場18:15 / 開演19:00

オールスタンディング8,500円(税込/D別)
・未就学児入場不可
・客席を含む会場内の映像・写真が公開される場合がございます
・公演が中止・延期となった場合以外の払い戻しは原則行いません
[問]サイレンエンタープライズ 03-3447-8822

=TICKET=
【オフィシャル先行(抽選)】
受付期間:3月11日(火)12:00~3月17日(月)23:59
受付URL:eplus.jp/penicillin/
制限枚数:各公演お1人様1申込4枚

【一般発売(先着)】
3月29日(土)
イープラス
https://eplus.jp/penicillin/

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【全ての情報はこちら】
PENICILLIN Web
https://www.penicillin.jp/

【ファンクラブ入会案内はこちら】
https://www.penicillin.jp/fanclub/enrollment

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