【LOMI】★NEW ALBUM『Re:aQt』リリースインタビュー★バーチャルライバー・神来社 璐弥が、アーティスト・LOMI名義で1stフルアルバム『Re:aQt』を3月14日に配信リリース。本作を紐解くにつれ、LOMIの素顔が垣間見える────?

バーチャルライバー・神来社 璐弥(からいと ろみ)としても活動しているアーティスト・LOMIが1stフルアルバム『Re:aQt』(リアクト)をリリースした。ヴィジュアル系シーンで活動したあと、2022年からVライバーとしてのキャリアをスタート。“天使と悪魔のハーフ”神来社 璐弥として配信を行うほか、声優やMCとしても魅力を発揮している。LOMI名義の最初のアルバム『Re:aQt』はヘビィロック系のアッパーチューンを軸にしながら、ジャズテイスト、バラードなどの要素を取り入れた作品。光と影のコントラストを反映した歌詞、生々しい感情を響かせるヴォーカルなど、アーティストとしての個性が明確に示されたアルバムに仕上がっている。Visunavi初登場となるLOMIに、これまでのキャリアとアルバム『Re:aQt』についてインタビュー。根底にあるのは、関わるすべての人に幸せになってほしいという切なる願いだった。
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辞める前にちょっと配信してみようかなと思ったのがきっかけですね
────バーチャルライバー・神来社 璐弥(からいと ろみ)の活動が始まったのは、2022年1月。Vライバーを選んだのはどうしてだったんですか?
LOMI:実は、配信者としてやるつもりはまったくなかったんです。その前に音楽活動、声優としての活動をやっていたんですけど、辞めてしまおうと思っていて。そのときたまたま「topia」(バーチャル音楽ライブ配信アプリ)を見つけて、辞める前にちょっと配信してみようかなと思ったのがきっかけですね。せっかく自分で生んだ曲を無駄にしたまま辞めるのはもったないない……という気持ちでやってみたら、思った以上に多くの方に曲を聴いていただけて。その後イベントにも誘われて、いろんな方が自分の曲を気に入ってくれたんですよ。それがモチベーションになって、「諦めずにやっていこう」という気持ちになりました。
────神来社 璐弥は天使と悪魔のハーフだとか。
LOMI:はい。自分自身の良い面、悪い面が葛藤することもあるし、もともと“光と闇”を表したいというところもあって。それは今回のアルバムにも繋がっています。
────ファンの皆さんとのインターネットを介したやりとりはどうですか?
LOMI:楽しいですね。自分では気づいていなかった性格を指摘されたり(笑)。配信中は、どうしても素が出てしまいます。
────では、アーティスト・LOMIについて聞かせてください。まず音楽的なルーツは?
LOMI:音楽を始めたきっかけは、声優事務所に所属していたときに「音楽をやってみないか」と誘われたことなんです。自分がリスペクトしているアーティストがGACKTさんだったので、そういう方向性の曲をやりたかったんですが、自分の声や歌い方、パフォーマンスと合わなくて。その後は煽り系というか、盛り上げる系の楽曲が中心になっていきました。
────ジェンダーレス、両性的なヴォーカルもLOMIさんの特徴ですよね。
LOMI:話し声は高いんですけど、歌うと低くなるっていう。二面性が表現できるのも一つのポイントだと思うし、見せていきたい部分ではありますね。
────アルバム『Re:aQt』にもLOMIさんのアーティスト性がダイレクトに反映されていると思います。初アルバムですし、感慨深いものもあるのでは?
LOMI:そうですね。どこまで話していいかわからないですけど、自分は持病を抱えていて。動けるうちにいっぱい活動したいという思いがあったし、アルバムに対する想いはすごく強いですね。やりきりました。
バーチャルといっても、結局はリアルが見えてくるんですよね
────アルバムの全体像やテーマは?
LOMI:制作していくうちに見えてきた感じですね。自分はバーチャルアーティストの事務所も運営しているんですが、そのなかで人間の汚い部分が見えてくることもあって。それによって歌詞の刺々しい部分が生まれているのだと思います。かなりリアルに近いことも書いてますからね。『Re:aQt』というタイトルについては、自分が配信の活動をやっているのもあって、“アクト”という言葉を使いたかったんです。活動者って、同じことを繰り返す傾向があるなと思って、この題名を付けました。
────同じことを繰り返すというのは?
LOMI:「もう辞める」と言いながらまた戻ってくるとか。名前を変えて転生する人もいるし、同じような失敗を繰り返してしまう人もいて。
────V Tuber、病みがちですからね。
LOMI:かなり多いですね。生配信をやっていると、どんなに気を付けていても発言が炎上することもあって。バーチャルといっても、結局はリアルが見えてくるんですよね。
────そのあたりも『Re:aQt』に流れているテーマかも。楽曲制作はどうやって進めているんですか?
LOMI:曲はこもって書くことが多いので、誰とも接触せず、1人にならないと何もできないですね。“すべてを絶つ”という感じです。ヴォーカルRECもひたすらスタジオにこもってやっていて。エンジニアの方に録ってもらいながら、自分でOKテイクを探して……。歌詞が歌詞なので、自分自身の感情も引っ張られてしまうんですよ。負の感情になることも多いので、1回リセットしないと人と会えなくて。
────制作中は感情が揺れまくっている。
LOMI:そうですね。配信中も表には出さないようにしてますけど、やっぱり出てきちゃうことがあって。そのあたりはかなり気を使ってますね。

────収録曲についても聞かせてください。1曲目「Ray of Light」はタイトルどおり、光の在処を探しているような歌詞が印象的でした。
LOMI:男女の恋愛を描こうと思って作り始めたんですが、制作しているうちにだんだんと暗い方向に進んでしまいましたね(笑)。配信者さんのいわゆる病みツイ(SNSでのネガティブな投稿)もそうですけど、メンタルが弱った人がバーッと投稿してしまう言葉だったり、それを見て、自分の感情が引っ張られてしまったり。そういう部分がこの曲の歌詞には出ているかもしれないです。サウンドに関しても、作っていくなかで変わってきたんですよ。最初は神聖な感じにしようと思っていたんですけど、配信者としての自分の名前に“神”が入ってるので歌詞のイメージと合わなくなってきて。アルバムの1曲目として、入ってきやすいサウンドになっていると思います。
────制作のプロセスのなかでかなり変化していくんですね。
LOMI:自分の場合はそうですね。たとえば詐欺にあったり騙されたりすれば、その気持ちが歌詞に出てきたりするので。
────すごい日常ですね……。2曲目の「Vanity」はヘビィなサウンドが突き刺さるアッパーチューン。こういうテイスト、似合いますね。
LOMI:自分としても好きな曲調の一つですね。この曲はまさにSNSの闇を歌っていて。誤解から生まれる闇もかなり多いと思うんですよね、実感として。配信者としても事務所の代表としても「誤解されてるな」と感じることがあるし、誤解をもとに攻撃されることもあるので。それをテンション低く歌うとドロドロしちゃうので(笑)、吹き飛ばすくらいの勢いで表現したかったんですよね。
いろんな方と関わることで自分自身を高めていきたいなと思っています
────続く「Velvet Shadow」はジャズとロックが融合した妖しい雰囲気の楽曲。
LOMI:これは挑戦の曲ですね。ジャズに触れたことがなかったので、どうやってジャジーさを出せばいいのか試行錯誤して。歌詞は別の方(チロ)に書いていただきました。大人の色気を込めたかったんですけど、その要素があまり自分にはないので。配信していても「色気ないよね」って言わるんですよ(笑)。

▲チロ
────(笑)。「Velvet Shadow」に関しては、あえて自分にはないものを求めた?
LOMI:そうですね。音楽に関してはまだまだわかってない部分も多いので、いろんな方と関わることで自分自身を高めていきたいなと思っています。
────「Torus」もずっしりとしたヘビィネスをたたえた楽曲。この題名は円環という意味ですか?
LOMI:自分のなかでは“輪廻転生”のイメージですね。アルバムタイトルの“繰り返す”とも重なっているし、もともと霊的なことにも興味があって。最近カード占いを始めたんですけど、そこでもすごく不思議なことがたびたび起きるんですよ。リスナーさんの恋愛相談が多いんですが、そのときの状況や展開がバッチリ当たったり。そういう経験もあって、輪廻転生みたいなものはやっぱりあるのかなと。
────リアルとスピリチャルの結びつきも、LOMIさんの特徴なのかも。そして「Trash Reality」はアルバムのなかでもっとも激しい曲。これもチロさんの作詞ですが“ゴミクズリアル”というワードが叩きつけられています。
LOMI:ダイレクトに表現してくださいました。とにかく刺々しさを求めていたんですよ、この曲は。「世の中、汚ねえやつがいるよな」「そうだよな!」みたいな曲にしたかったんですけど、その気持ちをそのまま歌詞にしてくれて。
────ヴォーカルのテンションもめちゃくちゃ高くて。
LOMI:これも言っていいかわからないんですけど、「あいつらを見返してやる」という気持ちはデカかったです。これまで自分を攻撃してくださった方々に目にもの見せてやるという思いで歌っていたというか。よくファンの方に“ドM”と言われるんですけど、攻撃されればされるほど「見返したい」という気持ちが強くなるんですよ。普段言いたくても言えないことを音楽にしている部分もありますね。
────怒りがモチベーションになっているというか。6曲目の「LIBRA」は切ないメロディが印象的。ピアノの響きもポイントですね。さらに7曲目の「Last Breath」はバラードのテイストを取り入れた楽曲。この2曲からLOMIさんのヴォーカル表現の豊かさが伝わってきました。
LOMI:「LIBRA」みたいな曲調も好きなのですが、あまり歌ったことがなくて。これも挑戦の楽曲ですね。歌詞は恋愛モノなのですが、“取った、取られた”というドロドロした感じを描いていて。“それは人のせいではなく、自分のせい”という気持ちも込めていますね。「Last Breath」のようなバラード曲には(歌手として)苦手意識があって(笑)、最後まで入れようか迷ったんですけど、アルバムのなかに1曲はあったほうがいいかなと。ただ、バラードのなかにも激しいテイストを入れたかったんです。最初はしっとり入るんですけど、途中から激しくなっていくという……そこが自分の感情とリンクしているんですよね。
────どうしても激しい感情表現が必要だと。
LOMI:感情の激しさこそが自分自身でもあるので、そこは表現したかったですね。「Last Breath」にも恋愛の要素があって、“クラッシュ”という言葉を使いたかったんです。自分のことというより、ほかの方の経験を聞くことが多いんですが――恋愛相談をされることがすごくあるので、そのことを反映している部分もあって。破滅的というか、“その人はやめておけ”という相手を諦められない方が多いんですよ。女性の場合は、“この人をなんとかしてあげたい”という母性本能みたいな気持ちがあるみたいですね。占いでも、そういうカードが出てきたり。
────生まれつき決められた運命ということですか?
LOMI:占い的にはそうなんですけど、本人が“変わるしかない”と思えば、変われるはずなんです。自分のところに相談しにきた方のなかにも、がんばって変えようとしている方がいらっしゃいます。
────8曲目の「Doubt it!」もめちゃくちゃ攻撃的ですね。
LOMI:これはもう反論の曲ですね。多少ぼやかしているところもあるんですけど、すべてに言い返しているような楽曲で。こういう曲、すごくスッキリするんですよ(笑)。
────続く「reachable」は、アルバムのなかでもっともポップな楽曲。メロディからも明るさを感じました。
LOMI:恋愛のキラキラ感を表現したいと思って作った曲ですね。自分の周りにもいい恋愛、ちゃんとした恋愛をしている人がいるので、そこもしっかり描きたいなと。“お互いにわかり合えれば、こうなれるよ”という曲と言いますか……やっぱり“幸せになってほしい”という気持ちがずっとあるんですよね。リスナーはもちろん、自分に関わってくれる人すべてに対して、そう思っていて。だから「何かあれば相談してきていいよ」と言ってるんですよ。幸せな人が増えればこの世界も平和に近づくし、少なくとも自分の周りの方には幸せになってほしい。そういう気持ちを込めて最後の2曲(「reachable」「GIFT〜大切な君へ〜」)を書きました。

“みんなの笑顔が見たい”という思いを届けたいな、と
────アルバムの最後に収められた「GIFT〜大切な君へ〜」は、LOMIさんのアーティスト性、メッセージが込められた名曲だと思います。
LOMI:ありがとうございます。実は、「このタイトルでいいのか」と悩んでいたんですよ。最後の最後まで考えていたんですけど、結局“みんなの笑顔が見たい”という思いを届けたいな、と。ヴォーカルのレコーディングも、この曲が最後だったんです。すべての楽曲を録り終えてから、「いろんなことを言ってきたけど、一番伝えたいのはこういうことなんだよ」という。普段もそうなんですよ。事務所に所属しているアーティストと話し合うときも、もちろん厳しいことも言うんだけど、その人の幸せを願っているのはずっと変わらないので。
────リスナーとの結びつきのなかから生まれたアルバムでもあるんですね。LOMIさんにとってファンの皆さんは、どんな存在ですか?
LOMI:「LOMIの存在や歌に支えられています」という言葉をいただくことも多いんですが、自分自身もみんなの笑顔に支えられている感じがすごくあって。イベントで応援してくれるのも嬉しいですし、受け取ってきたものを何かの形で返したいという思いもありますね。
────アルバム『Re:aQt』、LOMIさんのキャリアにとっても大きな意味を持つ作品になりそうですね。
LOMI:そうですね。感情が持っていかれることもあったし、体力勝負でもあって。完成してよかったです。このアルバムを使った活動もやっていきたいと思っているので、自分としても楽しみですね。リスナーのみなさんには、それぞれに感じ取ってほしくて。「この曲はこういうふうに聴いてほしい」というのはあまりなくて、伝わる人に伝わればいいと思っているし、何かしら心に響くものがあったらな、と。
────LOMIさんの音楽性は間違いなく、ヴィジュアル系のファンにも響くと思います。ヴィジュアル系との繋がりについては、どんなビジョンがありますか?
LOMI:そのことは常に考えていますね。チロさんに作詞をお願いしたのも、ヴィジュアル系界隈の方との接点を持ちたかったからで。アルバムのミックスもヴィジュアル系を手がけているエンジニアさんにお願いしているんですよ。制作面だけではなく、この先もしバーチャルライヴをやる機会があれば、ヴィジュアル系とうまく融合したい。そういう夢もありますね。
────バーチャルとヴィジュアル系、すごく親和性があると思います。
LOMI:そうですよね。バーチャルであってもリアルでも、音楽であることは変わらなくて。バーチャルライバー界隈をあまり知らない方も、ぜひ1回足を踏み入れてほしいなと思います。自分も配信を通して、ヴィジュアル系の楽曲を歌うことがあって。そこでヴィジュアル系に初めて触れる方もいるし、そういう共有は今後も続けていきたいですね。
取材・文 森 朋之
RELEASE
★1st FULL ALBUM『Re:aQt』
2025年3月14日
各配信ストアよりリリース
Apple Music・LINE MUSIC・Spotify・Amazon Music・Youtube Music などを初め、40 社以上の配信ストアよりリリースされます。
・Ray of Light
・VANITY
・Velvet Shadow
・torus
・Trash Reality
・LIBRA
・Last Breath
・Doubt it!
・reachable
・GIFT〜大切な君へ〜
関連リンク
◆LOMI / 神来社 璐弥 OFFICIAL X
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