【シド】ライヴレポート◆今年初ライブ<BEST OF SID 2025>で盛り上がった4月10日、“シドの日”。秋のツアー開催も発表!

続く「声色」は逆光にメンバーのシルエットが浮かび上がるライティングで始まり、明希は階段に腰掛けてプレイ。Shinjiがピックをくわえ指で直に弦を爪弾く音が温かい。
『少し掠れてるけど優しい声』という歌詞がリアルと重なり、両手でマイクを握って熱唱するマオの姿に心が震える。
終盤で昂りを見せたゆうやのドラミングも圧巻だった。Shinjiのギターリフから「hug」へ突入すると、夕暮れのようなオレンジの光の中、歌心に溢れたアンサンブルを披露。
マオが最後のキメの音に合わせて両手で自らを抱き締め、ステージを去っていくと、3人によるセッションがスタートした。
Shinjiはロックンロールなギターリフを掻き鳴らし、音の快楽を全身で味わうように仰け反ってプレイ。ピックを投げ入れた後姿を消し、次はゆうやがスポットライトを浴びてソロでプレイ。
頭上でスティックを打ち鳴らしクラップを誘発した後、小気味よく多彩な音を鳴らし、それに連動して照明もカラフルに。
続いて明希は「お前らそんなもんか? もういっちょ!」などと煽りながらオイオイ!のコールの中でソロ演奏。
太く艶っぽい重低音を轟かせ、ゴリッ!とした一撃でプレイをカットアウト。3人それぞれの演奏家としての個性と魅力を味わわせた。



ひんやりとした緑の光の中、3人が位置についてシンセサウンドが響き始め、マオが再び合流して始まったのは美しいバラード「面影」。
マオは気迫に満ちた前傾姿勢で情熱的なロングトーンを響かせる。3人の演奏にも熱がこもり、曲の世界観への没入感は増していくばかりだ。
更に、中国のアニメ『天官賜福』オープニング主題歌として提供したバラード「慈雨のくちづけ」を放つと、歌詞とリンクして紅一色に染まるなどドラマティックな照明演出も相まって、壮大なサウンドスケープを立ち上げていく。
東洋的情緒とプログレが融合したような、複雑かつ繊細な美しさを4人は巧みに表現した。
「慈雨のくちづけ」を歌い終えてそっと投げキッスをしたマオ。それを合図に現実へと戻ってきたかのように、「イエイイエイイエイ! 何事も気合いですね。行けるか! 結婚しよう、「プロポーズ」!」と煽ると、ここからは怒涛の展開。
ヘッドバンギングの嵐が巻き起こり、既に盛り上がっているところに追い打ちを掛けるように、メンバーはステージ前方の際まで出て来て熱くパフォーマンスし、更に煽っていく。
マオもペタンと膝をついて熱唱、その後ろでは明希とShinjiが向き合ってプレイしていた。
「お前ら、そんなもんだったら俺がぶっ〇すぞ! 頭振っとけ!」などと狂暴な言葉で煽ると、「park」へ。
メンバーも髪を振り乱し演奏に没入。曲中でも「サボッてんじゃねえ!」とマオは何度もファンを焚きつけた。


「準備運動終わりましたか? 準備運動してんじゃねーぞ!」(マオ)と挑発して「眩暈」へ突入すると、ファンにシンガロングやジャンプを果てしなく求め、自らも全てを出し切る激しいパフォーマンスを繰り返すメンバーたち。
そして本編最後は「吉開学17歳(無職)」で狂騒のピークへ。明希、Shinji、ゆうやの順にステージを後にし、最後にマオは「やっぱ何でも気合いだね」と少し笑いを含みつつ何度も繰り返しながら去って行った。
アンコールの声に応え、オフィシャルグッズの黒Tシャツをまとって登場した4人。
マオは「ごめんね、暴言の数々(笑)。あれは俺じゃないってことで。これが俺」と、初期曲での荒々しい煽り文句について謝罪しながら、
「すごい盛り上がったね。今日のライブいいんじゃない?」と手応えを語ると、「夏恋」とタイトルコール。
すると歓喜の声が場内に響いた。本編終盤の狂暴さとは打って変わって、ポップなナンバーに乗せて明るく弾けるメンバーたちのナチュラルな笑顔が眩しい。



「ドラマ」でハッピーなムードを更に増幅させると、「もっと行こうか、Dear Yokohama!」(マオ)というシャウトから「Dear Tokyo」へ。
サビではメンバー3人による熱いコーラスが重なり、Shinjiのギターソロの後に場内で沸き起こったオイオイ!コールは、体感的にはこの日最大の音量。
「もっと行けるか~!? 今日アンコール長いぞ!」とマオは予告して、「one way」を投下。
「好きにやっちゃって」とイントロに乗せて叫ぶと、オーディエンスとはオイオイ!と大きな声で歌い、マオは少し掠れた声で、それでも楽しそうに歌唱。
フロアでは列が左右に交錯する横方向のモッシュとなり、お祭り騒ぎの様相。オイオイ!コールはどんどん大きくなっていく。
ファンの盛り上がりを見てマオは「すごいな、皆。大丈夫だった? バランス力がすごいよね。どうなってんの、あれ?」と自ら片足立ちになってよろめきながら、モッシュの光景を振り返り楽しそうに笑っていた。
「仲良いんだよな、お前たち。「one way」ってこういう曲だったっけ(笑)?! 変わってきたよな。Aメロでオイオイ!とか」と、
長い歴史の中で曲の盛り上がり方が変化してきたことに触れ、感慨深そうだった。
「大丈夫? 楽しんだ? あと40年後とかもやれよ、ちゃんと」と話題は未来へ。
マオが「今シドはね、新曲をつくっています」と告げると明希は拳を高く挙げて頷き、ファンは歓声を挙げた。
続いてマオは「今年の秋、10月からツアーをやろうと思って。デカめのライブハウスで。中身とかコンセプトは楽しみにしてて。皆も絶対に来てくれるよな?」と語り掛けた。
「Zepp Yokohama楽しかった。最高だったよね?」と問い掛けると、「最高!」とファンは口々に叫び、メンバーは音を鳴らして合の手を入れた。
「じゃあ、決めていいか分からないけど、来年もやろうか? 4月10日は皆で集まるっていうのはどうかな?」と呼び掛けると、各々手を挙げたり音を奏でるなどしてマオに同意するメンバーたち。ファンはもちろん大歓声。
「今回ソールドアウトで入れなかった奴結構いたから、その子たちも入れるようなライブをやろうと思います」とマオは構想を語ると、
「今年の秋と、あとは来年の4月10日ね」と新たな約束を交わした。