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【YUKI】独占ライヴレポート◆<aRaise vol.015~43℃のムジーク~>2024年7月11日(木)渋谷REX◆YUKI、誕生日ライブで届けた心震わせる熱唱────「最高にハッピーな誕生日です。最高に熱いライブをさせてくれてありがとう」

YUKIの誕生日当日である711日、渋谷REXを舞台にワンマンライブ「aRaise vol.01543℃のムジーク~」が行われた。前日には「Stand by me!!42℃の結論~」と題したワンマンライブと、ファンクラブ会員と共にカウントダウンイベントを行い、目一杯アーティスト人生を謳歌しながら迎えた誕生日当日。会場に駆け付けたファンとお馴染みのバンドメンバーと共にレベル43”YUKIをお祝いするライブ……だったはずなのだが、振り返ってみれば、心が満たされる素敵な時間をプレゼントしてもらったのは我々の方だったような気がしてくる。そんなライブの模様を、ボーカリスト・YUKIの生きざまに対する敬愛を込めながらレポートしていきたいと思う。

◆      ◆      ◆

この日用意されていたのは、Raphaelricesolo worksaRaise]の楽曲たちであり、それらはYUKIの人生におけるそれぞれのタームを色濃く表すメタファーでもある。その中で、青春のタームに位置づけられるRaphaelの楽曲が用意されていた前半戦。「シナゴーグ前奏曲イ短調~第一楽章~」に乗せてメンバーが登場すると、「花咲く命ある限り」から幕を開けた。メタリックテイストをより強く感じさせる演奏と、そこへ重なる貫禄の歌声やフロアに広がるヘッドバンギングの嵐も相まって、瞬時にデカダンな雰囲気に包まれてゆく。

ふと「まもなく(723日には)、この曲でRaphaelがメジャー・デビューをしてから25……」と頭をよぎったところで、次に用意されていたのはカップリングに収録されていた「「・・・」~或る季節の鎮魂歌~」。これには思わず心が跳ねる思いだったと同時に、実際に嬉々として飛び跳ねるフロアを見渡すYUKIの顔にも笑顔が浮かんでいた。

クラシックテイストを交えたロックなアプローチが痛快な「小夜曲~悲愴~」や、「全力でぶつかってこいよ!」の号令に体を折りたたみドイツ語のキメで呼応した「gebet~祈り~」で生み出した熱量を引き継いだ「Ending~華弦の月~」では、LEDモニターに羽根が舞う中で生きることを諦めない歌が空へと突き抜ける勢いで届けられた。

そこへ、「すべてをさらけだせ!」と続いたのは「症状3.×××症」。この曲で描かれているのは、誰もが持って生まれた違いに優劣を付けず、互いを認め合うことの大切さである。人類にとって永遠のテーマに迫る事柄を確固たる強さで歌い上げるYUKIもさることながら、各パートをフィーチャーする部分や楽器隊がドラムの元に集合するといったシーンのすべてが、「症状3.×××症」が発する個の素晴らしさというメッセージを誇張しているようでもあった。ここで流麗なピアノで次の曲へ繋ぐも、YUKIセットリストをド忘れし、困惑した様子でバンドメンバーにヘルプを求める。「え……症状2”!?……アカン……43歳最初のアカンやん。大丈夫、僕ならできる……!」と、小声のつぶやきはすべてフロアに丸聞こえ。会場が一瞬クスクスと朗らかな空気になるも、スポットライトを浴びながら「症状2.分裂症」を歌い出した瞬間にそれは一変。生きることに伴う痛みに向き合うセンシティブな歌は、43歳最初のハプニングなどもろともせずに圧巻のオーラを纏って響き渡っていた。こうして、今、YUKIが歌うからこそといった具合にアップグレードを遂げた形で届けられたRaphaelの楽曲たち。それでも、当時ティーンエイジャーだった彼らが生み出した、崇高でいて純粋な音や言葉は今でも胸を掴んでくる。どんなに時間が経とうとも、心を癒してくれるバイブルであることに変わりはないことを痛感した。

ここからは、ricesolo works“aRaise”の楽曲たちを交えてアプローチ。日常の喜びや何気ない幸せを噛みしめながら生きる様子が伺えた「larme」を筆頭に、よりリアルタイムに近いYUKIのパーソナリティを深く覗けるセクションとなった。

中でも、「persona」と「Never」こそライブのハイライトであったと言っても過言ではない。空模様に準えて心情を描いた穏やかな「persona」の中、一変して激情のあまり今にも泣きだしそうな熱を持って歌われた歌は誰が為にあるというワンフレーズは、YUKIの歌に琴線を震わされる意味にガツンと答えを見出してくれるような力を持っていた。さらに、この声が枯れる日まで 死ぬまで歌うんだろうというエモーショナルなまでの執念がストレートにしたためられた「Never」。「届いてるかい!?」と投げかけると、それまでジッと聴き入っていたフロアが「届いてる」と言わんばかりに少しずつ体を揺しはじめた。YUKI自身を主人公とする「僕」に向き合った「僕」のための歌は、巡り巡って誰かの救いとなる。ボーカリストとしてあり続ける核心に迫り、さらけ出された心情に触れることができた瞬間、気づけば熱くこみ上げるもので視界は何度も滲んでいた。

迫真の一時を経て、命を楽しむことを歌った「calm」の中で聴かせたクラシック調な発声でのロングトーンも見事で、さらに優しさを帯びながら披露した「星に願いを」の最後には、「最高にハッピーな誕生日です。最高に熱いライブをさせてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。こうして、「ロックは好きかい?」と語りかけながら、アップテンポなロックサウンドを皆と共有するように「Fake Star」で本編を締めくくったのだった。

アンコールに応えて再び登場すると、しばしステージは和気あいあいとした空気に包まれた。「症状3”症状2”の間に、幻の症状0.5. 花粉症みたいな謎の世界観入っちゃったよね?(笑)せっかく本編、ノーMCでシリアスにキリッとドレッシーな印象で通そうと思ってたのに! やっぱり、そうさせてくれない神様がついてるみたい」と本編を振り返ったYUKIだったが、もちろんステージ上では絶対的なオーラがありながらも、時折覗かせる少年のような純粋でフレキシブルな側面から感じられる可愛らしさがあってこそYUKIらしいとも思ってしまうのが正直なところ。約8年ぶりの演奏に歓声が沸いた「ハックルベリーの恋」でもカントリーミュージックの軽快さに乗せて、きれいな服の下はと歌いながらサポートメンバーとファンにTシャツをチラりとめくって笑わせる場面も。続けて「throat」とアップテンポな曲を並べ、楽し気で穏やかなムードが漂っていた。そして、YUKIがアルトサックスを手にし、「大好きな曲」と話したRENOの「Stardust」を見事なサックスの音色を交えてカヴァーしたのだが、この曲の前にサックスをはじめるに至った経緯に触れた言葉をしっかりと書き残しておきたい。

「喉頭癌を患って、寛解に向けて折り返しになりました。少しずつだけど歌える物量とか音域とか、取り戻せはじめていて。行き詰ったときに歌しか生きてくものがなかったら、僕、死んじゃうかもと思ったことがあって。でもやっぱりステージに立ちたいし、真ん中に立つためには何をしたらいいんだろう?と思ったときに、管楽器に挑戦しようと思ったの」

改めて喉頭癌について触れられるまで、そのことを失念していたほど完成度の高い歌声がこの日も届けられており、ここに至るまでのYUKIの努力は実に計り知れないと思いながらも、歌えない間にも音楽ができる手段としてはじめたアルトサックスでも観客を圧倒してしまうのだから感服である。ただし、感慨に浸る余裕など与えてくれないほどにはエンターテイナーぶりをさらに発揮して、一度バックステージへ捌けたYUKIはなんとピンク色のナース姿(!?)で登場。ここでメンバーからのバースデーサプライズもあり、お楽しみが盛りだくさんとなったラストスパートは、「駆け抜けましょう!」という言葉通りにラブリーで可愛らしい「darling」と祝福ムードに満ちた「夢より素敵な」を通してライブは幕を閉じたのだった。

YUKIというライフワークで伝えるすべては、これまで積み重ねてきた軌跡があってこそ唯一無二のものとなる。失っては新たなものを自分の力で掴み取る、その繰り返しの中でいつでも等身大で居続けた姿は、いつしか人を癒すことを超越した、勇気や自身の正義を継承する大天使・ミカエルを思わせるほどに大きいものとなっていった。今後、積極的にイベントライブへ参加していくということもあり、YUKIの歌声はまだまだ多くの人の耳に届くことになるだろう。そこで彼の歌に触れた人に、そしてYUKI自身にこれからも幸多かれと願う。

 

文:平井 綾子
写真:Kumiko Suzuki

SET LIST

SE : シナゴーグ前奏曲イ短調~第一楽章~
M01. 花咲く命ある限り
M02. 「・・・」~或る季節の鎮魂歌~
M03. 小夜曲~悲愴~
M04. Gebet~祈り~
M05. Ending~華弦の月~
M06. 症状3.×××症
M07. 症状2.分裂症
M08. larme
M09. persona
M10. Never
M11. calm
M12. 星に願いを
M13. Fake Star

SE : epilogue~はじまりの詩~(KAZAMI ソロ 作品)
EC1. ハックルベリーの恋
EC2. throat
EC3. Stardust(RENO カヴァー)
EC4. darling
EC5. 夢より素敵な
END SE : Beat2018

<yuki solo works one man LIVE>
『aRaise vol.016~儘の彩~』

■日時
09.13(金)
18:00 open / 18:30 start

■会場
shibuya REX

■cast
YUKI(vo)
夢時(gt)
Rei(ba)
Kazami(dr)

[Special guest]
MAMA.

■ticket
add ¥6,500- / day ¥7,000-
*ドリンク代別途要
8月25日(日)発売開始
https://eplus.jp/sf/detail/4146980001-P0030001
※URLページは後日公開

<LuV Together 2024>
2024年9月16日(月/祝)EX THEATER ROPPONGI
OPEN 15:00 START 16:00

【出演】
アンティック-珈琲店-/キズ/YUKI-Starring Raphael-/lynch./MUCC(順不同)

【チケット料金】
スタンディング ¥8,600(税込)
指定席(バルコニー席/スタンド席) ¥9,600(税込)

※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児童入場不可
※営利目的の転売禁止
※出演者の変更に伴うチケットの変更、払い戻しはできません。ご了承ください。

8月18日(日)10:00~一般発売開始

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