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【Verde/】★スペシャルインタビュー★ヴォーカリストとして生きていっていいのか、そんな資格はないのか────。

2023年9月3日から無期限の活動“凍結”期間に入ったアリス九號.。
そのヴォーカルである将が、Shouとしてソロプロジェクト・Verde/(読み:ヴェルデ)を始動。
8月23日には、東京・LIQUIDROOMにて “Verde/ 1st ONE-MAN SHOW「可不可」” を開催する。
彼がVerde/を立ち上げた意義、ワンマンショーについても話を聞いてみた。





────
最初に、Verde/というアーティスト名で活動を始めたきっかけを教えてください。

Shou19年活動をしてきたアリス九號.というバンドが無期限凍結となったとき、最初僕は裏方として世のなかの役に立ちたいと思っていたんです。でも、周りの仲間や先輩のお声かけや励ましもあって、アーティスト活動をやる決心がつき、20231210日に1stシングル「The Wanderer/」のMVを公開しまして。2024316日に“1st Showcase Live0 Evergreenを開催し、そこから本格的に活動を開始しました。

────“名義ではなく、Verde/というアーティスト名で活動を始めた理由は?

Shou:将という人間が旗を振って「お前ら、俺に着いてこい。いい景色見せてやるよ」というメッセージで活動するイメージが僕にはなくて。それよりも、僕が発信するアートやクリエイティブなものに共感していただけたら、その場所にみんなに集まってきてもらうというほうがしっくりきて。その仲間たちと作る誰にも踏み荒らされたくない場所というのが、「常緑の世界=エヴァーグリーン」というイメージで。ただそのままだと僕が尊敬する方の曲名(「evergreen」)になってしまうなと。

────ShouさんがHYDEさんのことをリスペクトしているのは有名な話ですからね。

Shou:さすがにこれだとあからさますぎだろうと(微笑)。それで、イタリア語でgreen=Verdeだったので、響きも美しいし、「Verde/」というアーティスト名で活動することにしました。

────自分が発信するアートやクリエイティブに共鳴する人がいたら一緒に集おうという発想から始まったからこそ、1st Showcase LiveShouさんのアート展示もあり、ライヴも映像を背負ったアートフルな見せ方にこだわったものだったのですね。

Shou:複合的な形にしたかったんです。本当は香りまでやりたかったんですけど、そこはまだクリアしなきゃいけない問題があって研究中なんですが。音・視覚・香り……人の五感に訴えるクリエイティブを届けたいというのが構想としてありました。

────新曲の発表の仕方もVerde/CDというフィジカル作品よりも、MV公開を最優先する形で活動されていますが。

ShouMVだけというよりは、新曲のタイトルロゴ→アー写=ヴィジュアル→MVという流れを、コンセプトアートとして物語のように作っていまして。そうやって、これまで4作(「The Wanderer/」「Hope/」「Stars/」「Lunaris/」)を発表してきました。

────アートワークには、それだけこだわりがあるということですか?

Shou:はい。僕がいちばん得意で、呼吸をするように自然にできるのはデザインなんですね。クリエイティブの基盤はデザインで、それがあれば映像にもなるし音にもなるしという感覚なんです。例えば、2023年にアシッドグラフィックが流行りましたけど。そのデザインにあった銀色のフニフニしたタイポグラフィの世界観で、ヴァンパイアモチーフをやってみたいなと思って「Lunaris/」という曲は生まれたんですよ。

────Shouさんの場合、0から1を生みだす創作の根元がアート、デザインなのですね。子供の頃から美術とかが得意だったんですか?

Shou:学生時代、美術の授業は寝ていた人間です(笑)。ただ、父が広告代理店でコピーライターとクリエイティブディレクターをやっていたので、小さい頃から色味がきれいな絵本をたくさん見せられていたんです。その影響はあるのかもしれないです。

────実際にShouさんがアート制作に関わるようになったのは、音楽をやりだしてから?

Shou:そうですね。ヴィジュアル系バンドを初めてやったとき、僕がいちばん年下だったんですよ。そのときリーダーからPhotoshopIllustratorGO LIVEというホームページ制作ソフトのプラダクトキーを渡されて「手伝え」と言われて。フライヤーやホームページを見よう見真似で作って。デザインみたいなことをやりだしたのはこれが最初ですね。

────Verde/のコンセプトアート周りのデザインはすべてShouさんがやられているのですか?

Shou:手伝ってくれるスタッフはいるんですが、基盤となるものは僕が全部決めてます。

────Verde/も、これまで発表してきた楽曲タイトルも最後に“/”マークが入っているところには、どんな意味があるのですか?

Shou:ホームページのURLで親階層があって“/”マークのあとに階層が続くように、Verde/のあとにファンの子の名前、その人のいろんな人生のストーリーが繋がっていったらいいなという気持ちでつけました。曲名も同じです。“/”のあとに聴いてくださった人のストーリーが続いていったらいいなという思いで、発表した作品タイトルには全部“/”をつけてます。

────なるほど。バンド凍結後、一度は裏方に専念しようと思っていた自分が改めてこうして表舞台に立ってみて、今Shouさんが思うことは?

Shou:アリス九號.は事務所に10年所属してたんですけど、そこは僕らがストレスフリーで音楽に集中できるよう、すごく守ってくださる事務所で。その事務所から独立してからも、お客さんのなかにアリス九號.というブランドが出来あがっていたから、僕が何をやっても許してくれる存在だったんです。事務所にいるときは事務所に、事務所を独立してからもファンに守られている状態のまま自由に活動してきたんで、結局僕ら、マーケットには一度も晒されていない状態だったんですね。それで今、初めてマーケットに晒されてみて。周りはみんな必死だし、死ぬ気で真面目にやってるから、毎日が刺激的です。そんなところで自分も表現できているのが幸せだなと思いますね。

────事務所やバンドの庇護がないぶん、ひとりで立ち向かっていくプレッシャーは?

Shou:死ぬ気でやり続けてないと一瞬にして足もとをすくわれて消えてしまう。僕はそういうなかでやっていくほうが、すごく健全で気持ちよく感じています。僕だけではなく、サポートをやってくれている摩天楼オペラの優介(Gt)も耀(Ba)も、バンドが順調なのは死ぬ気でやっているからなんですよ。そのなかの貴重な時間で僕をサポートしてくれているから、無駄な時間は使わせたくない。そのためにさらに日頃の生活から見直して、音楽と向き合うようになりました。今はその状態がすごく楽しいですね。

────音楽への向き合い方にも変化が出てきた。

Shou:そうですね。以前は、「メンバーのやりたいことを叶えてあげることが僕の喜び」というスタンスでやっていたので、自分のエゴややりたいクリエイティブはあと回しにしてたんです。でも、今のVerde/の活動においては、自分のことだけに集中してやりたいことができているので、すごく成長できるいい機会だなと思って活動してます。

────クリエイティブに加え、今はヴォーカリストとしても自分のやりたいことだけを突きつめて表現できる立場にいるわけですもんね。

Shou:ヴォーカリストというのはアスリートみたいなものなので、もちろん努力は前よりもしてるんですけど、それが結果として出るのには時間がかかる。そのジレンマは感じてます。でも、歌に向き合う時間はすごく増えましたし。あとは、待ち時間がなくなったのはすごくありがたいですね。

────自分で楽曲制作もやっているからこそ?

Shou:はい。発信したい、創りたいという何かがあったらすぐに行動に移せる。そのスピード感はソロのいいところです。

────823日にはLIQIDROOM“Verde/ 1st ONE-MAN SHOW「可不可」が控えているわけですけど。まず、タイトルがとても意味深だなと思いました。

ShouShouはヴォーカリストとして生きていっていいのか、そんな資格はないのか。それが試される日だと思ってるんです。動き出した直後は、バンドをやってたから「おめでとう、がんばって」とご祝儀的なところで注目してくださったところがあると思うんです。そのフェーズが終わったあとは、コンテンツとして魅力的じゃなかったら普通に淘汰されていく。このライヴは、その重要なタイミングで行う公演です。キャパシティとしても、バンド時代に凍結を発表する前は埋められるぐらいだったんで、そこにバンドじゃなくひとりでチャレンジするのって、かなりリスキーで勇気がいることだから正直怖いんですけど。でも、それを克服するぐらい音楽やクリエイティブとひたすら向き合ってきて。いまはVerde/のファンクラブもあるので、世のなかとファンの方々の胸を借りる思いで絶対に成功させたいなと思ってます。僕はもちろんのほうに賭けてますけど、ヴォーカリストとしてのShouなのか不可なのか。それを問う意味でこのようなタイトルをつけました。

────俺をジャッジメントしろという気持ちの表れなのですね。

Shou:はい。実は、翌日の824日はアリス九號.20周年を迎える日なんで、それにまつわるような……もともとはバンドの力に頼るような企画だったんですよ。

────でも、発表されたのはVerde/のワンマンライヴ。

Shou:はい。企画でLIQUIDROOM埋めてもかっこよくないなと僕自身が思ってしまったんです。バンドに頼るのではなく、新しいチャレンジで失敗を恐れず、今自分が生きている証明をライヴで一生懸命鳴らすことのほうが重要だなと思って。でも、ファンの方々は期待しているところはあると思うので、そういう意味でシークレットゲストを迎える匂わせをしています。基本はVerde/として僕が本気で歌って。これはありなのかなしなのかを直球勝負で問いただすライヴになります。

────かっこいいです。そういうところ、男らしいですよね。Shouさんは。

Shou:基本腰が低いからあまりそう思われないんですが、僕は男らしいほうですよ(笑)。

────当日は、ライヴタイトルと同タイトルの新曲「Kafka/」をCDで限定発売。Verde/CD発売はこれが初ですよね?

Shou:そうです。会場限定発売というものに憧れがあったんです。僕は現場に来られない人も立派な仲間だと思うので、あまり差はつけたくないタイプなんですけど。この日に関しては、可なのか不可なのかを現場で問いただすことになるので、来てくださる方への思いとして会場限定でCD販売をします。

────Kafka/」はどんな思いで作った楽曲ですか?

Shou:アリス九號.の最後のほうはポップ、メロディアスじゃない方向に行ってたんで、その反動ですよね。アリス九號.はこういう曲をやるべきだったんじゃないかという僕なりのメッセージがこの曲なのかもしれないです。

────これ以前に発表した4曲は、それぞれどんな自分を表現した楽曲だったと言えますか?

Shou:世界的に見ると、日本の曲って独特なメロディラインだと思うんですね。それが今、世界的に見てもおもしろいんじゃないかと思って。「The Wanderer/」は英語が多いですけど、それ以外はジャパニーズ美メロディを大事にするという今の僕のテンション感が表現されていると思います。最初のひと区切りまでは、このまま美しいメロディとテクニカルな演奏を貫いていくつもりです。美しいメロディをヴォーカルだけではなく、演奏者も歌っている。リズムに合わせてキメがあって、ヴォーカルが途切れたらギターがヴォーカルばりに歌ってるとか。それを叶えられるのはハードロック、メタル調のアプローチなのかなと思ってやったらこうなりました。ハードロックやメタルはやるつもりなかったのに(笑)。僕はグランジ、オルタナ、シューゲイザーが大好きなんですけど、そっちだと「ヴォーカル関係ねぇ」みたいな。

────ああ~。メロディを奏でるというよりもひとつの音を出す楽器的な存在ですからね。

Shou:趣味と自分が演るべきことは違ったという感じですね。Verde/の音楽を総括すると。

────それでVerde/はメロディアス路線に。

Shou:絶対歌いたいメロディというのが自分のなかにあるんですよ。優介に編曲を手伝ってもらったりしても、メロディは100パーセント僕が作ってるんで。僕が絶対的に歌いたいメロディを最大限に生かすと、こういう曲調になるんだなと思いました。

────そのShouさんが絶対的に歌いたいメロディというのは、どこで育まれたんだと思いますか?

Shou90年代に活躍していた先輩方だと思います。すべてメロディが美しかったんで。

────美しいメロディを歌っていたほうが、ヴォーカリストとしても心地いいんですか?

Shou:心地いいですね。メロディがよくないと何やってるんだろうって、すごく悲しい気持ちになるんですよ。だから、いいメロディの曲しかやりたくないって考えてたら、だんだんノエル・ギャラガーみたいになってきちゃって。

────いい例え(微笑)。オアシス脱退以降もソロで美メロを作り続けてますからね。

Shou:美メロの右ストレートをひたすら打ちまくるようになってきちゃったんです。新曲の「Kafka/」はメロディがむずかしすぎて、歌うと心地いいを通り越して地獄ですけど(笑)。

────はははっ。では、その美しいメロディに乗せて、Verde/としてShouさんは何を歌おうと思いましたか?

Shou:今のファンクラブはデジタルなので、チャットで直接ファンの声が届いてくるんですけど。「バンドが復活してほしい」とか「愛していたバンドがなくなって寂しい」とか。胸にぽっかり穴が空いてしまった人たちが一歩を踏み出そうとして、僕のことを応援してくれてるんですね。だから、そういう子たちを励ましたり勇気づけたりする歌詞が、自然と多くなりました。

────その人たちにダイレクトにパフォーマンスを届けられる“Verde/ 1st ONE-MAN SHOW「可不可」。どんなステージにしたいと思っていますか?

Shou:正攻法でしっかりとしたワンマンをやって、それでいかにクオリティの高いものができるか。そのためにサポートメンバーもいつもと変えてヴァイオリンの人を呼ぼうかとか、キャパシティにそぐわないような大がかりな演出をやっちゃおうかとか。自分がしっかりと歌う以上の、そういう化学反応も企んでいたりもしますけど。今、アグレッシブなライブをされている先輩を近くで観させてもらっているからこそ、僕も1シーン1シーンが一生ものの思い出に残るようなクオリティの高いものを観せられるよう、日々鍛錬するしかないと思ってます。一発芸は通用しないと思うので。日々どう暮らして鍛錬して、823日に向けてどう準備してきたか。それが伝わるようなライヴをお見せしたいと思います。

────これが可なのか不可なのか。そこは、どんなふうに判定するのですか?

Shou:終わったあとのお客さんの表情じゃないですか。言葉にできないですけど、わかるんですよね。ステージに立ってると伝わってくるんです。だから自然と答えは出ると思います。その結果で「これからもよろしく」になるのか、「またリベンジさせてくれ」になるのか。当日会場で見極めてほしいなと思います。

────そして、この翌日には“DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024~帰って来たM.A.Dという猛獣たちの夏祭りにソロで参加!

Shou:誘ってくれたのはSORADEZERT / Dr)でした。824日はアリス九號.20周年の当日だけど、5人揃って何かやるのは無理。なら、とてもお世話になったKenさんをはじめ、MUCCDEZERT、素晴らしい方々がいるイベントに出演することが何もないよりもファンへの最善のプレゼントになるのかなと思って、出ることを決めました。

────Shouさんは今、バンドの復活についてはどのように考えてらっしゃいますか?

Shou:僕は、5人だったらやりたいと思ってます。この5人じゃないとアリス九號.じゃないんで。だからその日までは、半端にメンバーとはつるまないようにしてます。9月にやるファンクラブイベント以降はメンバーとつるまず、茨の道を行きます。シーンの荒波に揉まれて、対バンも歌が上手いヤツばっかとやろうと思ってます。その生き様を見ててください。

────カッコいい!!

Shou:音楽人として生きること。それが、5人でまた再開する可能性があるいちばんの道だと僕は信じてるんで。その可能性を高めるために、メンバー1人ひとり様々な形で今後も戦っていくと思うので、1人ひとりを応援していただけたらいいなと思ってます。

────それでは最後に、読者にメッセージをお願いします。

Shou:ちょうど僕ら世代からはヴィジュアル系というのをあまり言葉にしなくなったんですけど、今はDEZERTのようなシーンの若頭がヴィジュアル系という言葉をはっきり口に出して、旗を振ってヴィジュアル系を再定義してムーブメントを作ろうとしてる。それに僕もとても感銘を受けています。ヴィジュアル系って世界的に見ても珍しい日本独自の文化なので、そのおもしろい文化を好きでいる自分の感性を信じて、楽しい思い出を作っていけたらと思いますので、その一端としてVerde/もよろしくお願いします。

 

取材・文 東條祥恵

 


 

LIVE 情報

■Verde/ 1st ONE-MAN SHOW 「可不可」
2024.8.23(fri) LIQUIDROOM EBISU
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●Support member
Gt:優介(摩天楼オペラ)  @YusukeHiraga
Ba:燿(摩天楼オペラ)  @opera_yo
Dr:石井悠也  @ishiiyuya_drums
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OPEN 17:15 / START 18:00
【VIP】¥33,000- ( 税込/ドリンク代別途必要 )
[ 優先入場+VIP 指定席+リハ見学+終演後 2Shot 撮影ご参加+スペシャルプレゼント付き ]
【スタンディング】¥6,600- ( 税込/ドリンク代別途必要 )

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