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【nurié】ライヴレポート<nurié 5th Anniversary ONEMAN 5 years, 5 colors>2024年7月29日(月)Veats Shibuya◆俺たちに足りなかったあと1色がようやく揃ったんだ────5周年ワンマンで証明した“5人”のnurié

2024年7月29日、Veats SHIBUYAでnuriéの結成5周年となるワンマンライヴ「nurié 5th Anniversary ONEMAN 5 years, 5 colors」が開催された。
大阪を拠点にしながら精力的な活動を続けるnuriéが、大切なメンバーとの死別、世界的パンデミックとここまでの道のりが容易いものでなかったことは事実だ。だが、それらを言い訳にすることは彼らの生き方にはそぐわないし、情けをかけられることはロックバンドにとって不似合いなものだ。そう思ってここまで歩んできた。

だが、本当にそれで良かったのだろうか?

この節目のワンマンを迎えるにあたって大角龍太朗、廣瀬彩人、染谷悠太、3人の心にはこれまでと異なる感情が芽生えたと言う。取り分け孤独に身を置くことで固有の思念を必死に守ろうとしていた大角は、己が孤独であることを否定することとなった。
結論から言おう。
nuriéは5人だった。これまでも、これからも。
これが5年の時を経て、ようやくたどり着いた5色の境地だった。

荘厳なSEに迎えられ染谷悠太(Dr)、JITAN(Support Ba)、サングラスでキメた廣瀬彩人(Gt)の順に登場すると楽器隊でジャムりながら会場を温めるという、音楽に重きを置くnuriéらしい遊び心を冒頭から見せる。色とりどりのヴィヴィッドな照明の中、ステージ上部のLEDヴィジョンにはレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』が映し出されている。そして、最後に気合いに満ちた表情の大角龍太朗(Vo)が現れたのだが、この日は4人を迎え入れるようにステージ下手には小鳥遊やひろ(Ba)の衣装と愛機が配されていた。明らかにこれまでのライヴとの意味の違いを感じたところで、ハードロック調の「自分賛歌」からスタート。廣瀬彩人のゴキゲンなギターソロも相まってこれまでになく開放的なナンバーだが、その自賛的なタイトルとは対照的に牙を剥きつつ、その対象を自己にも向けるストイックさと赤裸々さがまさに今のバンドのスタンスを体現していると言える。所信表明に相応しいナンバーをグラマラスに鳴らすと大角のシャウトが号令となって、続いたのは早くも「RooM-6-」。変則的なリズムからサビで抜ける爽快さと、社会への強烈な問いかけがかけ合わさるnurié節とも言える代表的なカードを早々に切ってきたことからも彼らがこの日にかける想いが伝わる。大角と廣瀬の絡みも艶めかしさが際立ったが、染谷とJITANのリズム隊が生み出す疾走感の心地よさも特筆すべきものだった。
“この時代はバグだ”と切り捨てた「OVERKILL」。ここ数ヶ月、バンドとして急激にフィジカル力を増してきた象徴でもある最新レパートリーの1曲では大角はステージを降り客席に乱入!そのスキルが存分に発揮されたのは疾走する「I’m RAISE CLUB」。オープニングの「自分賛歌」にも共通するところではあるが“暗い顔してんな テメェがどうありたいかどうかだろ”のリリックはオーディエンスにだけ向けられた応援ソングではないからこそ心に留まるものがある。ヴィジュアル系というフィールドにおいて取り分けnuriéの特徴である、時に辛辣でありながらポジティヴィティ溢れるメッセージを様々な楽曲に投影するスタイルは顕著で、楽曲ごとに会場の色を塗り替えていった。


“揺らしていこうぜ渋谷!”に呼応するようにコール&レスポンスと縦ノリで会場を揺らした「akuma」小気味良い染谷のドラミングで、この大きな会場にもディープなnuriéの世界を増幅させていく。続いた2019年リリース「モノローグ」収録の「【ばいばい】」。ダウナー全開の世界は今のモードから考えるとむしろ新鮮に映ると同時に、このバンドの持つ根源に触れるそんな空間になったように思う。本公演に向けたインタビューの中で染谷が“ヴォーカルの大角はずっと悩み続けてる人。悩むことによって進化していくタイプ”と語っていたことがフラッシュバックする。

そんなことを考えていたら曲のブレイクから間髪おかず雨音が聞こえてきた。結成初期から存在していたものの、ここにきてついに音源化された「傘はいらない」。廣瀬のカッティングが物悲しいメロウなバラードナンバーだ。情念を込めるよう大角はマイクスタンドにもたれかかり、絞り出すような歌唱を見せる。愛で包み込む大名曲「あくび」にも言えることだが、非日常や華美な世界に耽ることが多いヴィジュアル系において、極めて日常的な歌詞や体温の微かな揺らぎを表現できるのがこのバンドにとっての特異点ではないだろうか。彼らが自称する“スーパーロックバンド”の側面には、隣で囁くように鳴らす音楽があることも忘れ難い。「傘はいらない」、「あくび」と続いたブロックは当然ハイライトであると共に、彼らが今後自身を更にブラッシュしていった先で何にも代えがたい武器になることを予見させる珠玉の時であった。


終盤は“絶好調ならヤーマンだ!”でお馴染み「骨太もんちっちくん」で陽気なダンスフロアを、そのタイトルからして意表をつく「うさちゃんず」ではファンシーさも届けた。nuriéの歴史を包括するうえで、多岐に渡る楽曲群は必須科目だ。彼らが公言する“ずっと迷ってきたバンド”であることを受け止め、その道中で生み出した楽曲をプレイすることにこの夜の意義がある。確かに単曲単曲を取るとジャンルも振り幅も様々で散らかった印象は否めない。名バラード「あくび」に続いて「骨太もんちっちくん」、「うさちゃんず」なのだから。ただ、どの楽曲にもキャッチーなフックが確実にあり、この5年間のどの時期に出会っていよう何一つ否定することなく、誰一人欠かさず伝え通したい想いに溢れた選曲ではないか。この日はチケットに“招待制度”が設けられていて、nuriéを初めて観る層がフロアに存在していたことも忘れてはならない。彼らが愛し、彼らを愛するファンがVeats SHIBUYAに導いたオーディエンスには何が刺さったか興味深いのもこのバンドならではだ。


バンドの攻撃的なモードへの口火を切るきっかけになった「Firebomb」で回転数を上げ、一気に着火すると、押しも押されもせぬ看板曲「瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで」で更に空気を掌握。晩夏を思わせるSEが郷里を香らせる「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」では白い逆光に照らされたメンバーの表情は窺い知ることはできない。けれど、そのシルエットと音の隙間に行間を落としこむ体重の乗せ方は実に見事で、これまでのライヴで楽曲が成長していることを感じさせた。隙間を生かすからこそ楽器隊のサウンドはそれぞれつぶさに立ち、そこに呼応するように吸い込まれるようにか細い歌唱で寄り添う大角の姿が目に焼き付く。すべての要素が楽曲に集約される“らしさ”で説得力を見せると、ライヴはいよいよ終盤戦へ。


ここで叩きつけられたのは、LEDに鬼の面が映し出された2021年リリースの「百鬼夜行」。紡ぐ世界観と破壊力を誇るこの曲でヘッドバンギングの嵐に。そして「生き継ぎ」と彼らの歴史を遡上するようにここからは活動創世記の楽曲が連打された。荒ぶる感情と圧倒的な言葉数を詰め込んだ楽曲が獰猛なヘヴィネスとなって襲い掛かってくる「生き継ぎ」もザラついた感情がやけに生々しく響く。「モノローグ」は彼らにとって始まりの曲だ。今にして考えてみても始動時に提示されたものがミドルチューンという個性は特異であるし、この名曲に閉じ込められた大角龍太朗の純度は、紆余曲折という言葉では片づけきれない。苦難の道をこのバンドがここまで歩んでこれた理由をもうとっくに証明していたのだとも思える。

MCでは“6年目に向かうにあたって、今日どうしても話しておかなければならないことがある。”と前置きして大角がマイクを取った。
そして、これまでの悔しさ…特に盟友かつ親友であるCHAQLA.、MAMA.との埋められなかった距離、人数で劣る3人バンドであることを言い訳にせずに5人バンドを倒したかったと真っ直ぐな想いを語った。そんな中でANNIE A(CHAQLA.)からかけられた“やひろくんはどうしたの?やひろくん、脱退してないんでしょ?…やひろくんのいる4人とサポートメンバーを合わせた5人のnuriéで挑んで来いよ。じゃないと俺たちには勝てないよ”の言葉が状況を変えたことも明かした。
お涙頂戴バンドなんかにはなりたくないからこそ、これまで溢れそうで蓋をしてきた天国のメンバーへの想いをここで解き放つことになったと語った。

“俺たち6年目はやひろの居場所をステージにしっかり残し、進んでいこうと思う。いつの間にか俺たちは3人で闘おうとしてた。でもそんなんじゃ到底叶わないバンドばっかりだ。もっと上に行くためには俺たちの5色が必要なんだよ!(中略)やっと、俺たちに足りなかったあと1色がようやく揃ったんだ。見てよ、ちゃんと5人で演奏してるでしょ?”

披露されたのはもちろん「透明に混ざる。」だ。いかなるステージとフロアにも存在するのかも知れない見えない壁を取り払ってしまう一つになる感覚を覚えると同時に、これまで彼らが小鳥遊についてメディア上で言及することを拒んでいたことも思い出す。大角が語った“お涙頂戴バンドだと思われたくない”も本音だと思うが、それ以上に彼のことを語り出したら溢れる想いに歯止めが利かなくなってしまうからだと悟った。せき止めていた感情は溢れ出し、感極まりながらもメンバーはいつになく柔らかい顔つきになっていた。
“このバンドが僕にとっての人生だ”と歌う最新曲にしてここからのnuriéの名刺代わりとなるであろう爽快なロックンロール「SUPER ROCK BAND」まで全18曲を見事完走した5人には大きな拍手が贈られた。

この日はステージ袖に待機していた永山銀(Support Ba)も交えて、全メンバーがオーディエンスに感謝の念を送った最後に大角が“きっとやひろさんも言いたいことあると思うんだよ”と、急遽セットリストに予定のなかった1曲を加えることに。

“やひろさんがずっと言ってた言葉をここに歌って帰るよ”
代弁するように「生きてて偉い」を空にマイクをかざしながらオーディエンスと共に歌い上げ、言葉にならないフィナーレとなった。

彼ら自身も自認しているように、nuriéはその都度その都度で形を変えてきたバンドだ。
その多彩な着想と確かなプレイによる再現性を有しながら、自身の能力に翻弄されてしまった時期もあるにはあっただろう。今も必ずしも満たされてはいない。だが、飢えた姿こそが彼らの本領でもある。
<5人のnurié>この結論に至るために幾度も迷い悩み続けた。そして悩み続ける日々はこれからも続いていく。何故なら、続けていくことを他ならぬ彼らが選択したからだ。6周年のワンマンも発表された。歩みを止めるバンドも少なくないなか、nuriéは進むことを誓っている。

また、ここから始まる。さぁ、
“流した涙の分まで取り返しに行こう”

TEXT:山内 秀一
PHOTO:ayami kawashima

SET LIST

nurié 5th Anniversary ONEMAN 5 years, 5 colors
2024年
7月29日(月) Veats SHIBUYA

1. 自分賛歌
2. RooM-6
3. OVERKILL
4. I’m RAISE CLUB
5. akuma
6. 【ばいばい】
7.傘はいらない
8.あくび
9.骨太もんちっちくん
10. うさちゃんず
11. Firebomb
12. 瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで
13. 冷凍室の凝固点は繋ぐ体温
14. 百鬼夜行
15. 生き継ぎ
16. モノローグ
17. 透明に混ざる。
18. SUPER ROCK BAND
19.生きてて偉い


2025年7月27日(日) OSAKA MUSE

日程:2024年10月25日(金) 
会場:ナンバーゲート
大角龍太朗生誕ワンマン
大角を祝ってよ!6th「I'm RAISE CLUB」

🕠OPEN 17:30 / START 18:00
🎫ADV ¥5,000 / DAY ¥5,500(D代別)

【5km Run 大阪編】
完全終演後 5km Run開催
一番最初に戻って来た方に全員のサイン&メッセージ入りランニングウェアのプレゼントあり

【FC先行】
受付期間:7/30(火)0:00〜8/13(火)23:59
当落発表:8/14(水)
入金期間:〜8/21(水)23:59
https://fanicon.net/fancommunities/4446

【一般発売】
8/24(土)10:00〜
https://t.livepocket.jp/e/4nosa

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【nurié OFFICIAL】
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