【Sick²】★NEW ALBUM『Lagrange point』リリースインタビュー★結成12周年を迎えるSick²が新たにリリースするアルバムについて訊く。キャリアを積み重ねてきた4人が語る“Sick²らしさ”とは?
Sick²は、2025年2月に結成12周年を迎える。長きにわたって積み重ねてきたバンドの個性や色とりどりの楽曲は、“Sick²らしさ”としてオーディエンスを魅了する。周年ライヴ、フルアルバムリリース、リリースワンマンツアーと、精力的な活動を予定している彼らが語る“Sick²”とは。新曲やライヴの構想についても触れながら、紐解いていく。
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気づいたら12周年だったっていう感じなんですよ。
────今年、Sick²は12周年を迎えますね。
ジェネ★:気がついたら12年経ってたっていうのが正直なところですね。途中メンバーチェンジがあって、ドラムが脱退したタイミングでSick²を活動休止という形にして、2020年からの約1年間は感染²という期間限定プロジェクトバンドとして活動したこともあったし、あとコロナ禍もあったじゃないですか。
────はい。ここ数年を振り返るだけでも、怒涛だったと思います。
ジェネ★:ありがたいことに大きい会場でワンマンライヴをやらせてもらったこともあれば、3年連続で47都道府県ツアーを回ったりもして。いろいろあったと言えばあったけど、その時々で目の前のことに自分の力を100パーセント注いでいた状況だったんで、本当に気づいたら12周年だったっていう感じなんですよ。
祭-まつり-:自分もそうですね。12年って言うと結構長く感じると思うんですけど、本当に怒涛だったんですよ。大変なこともあったんですけど、それすらもあっという間に通り過ぎていったんで。「よし、12周年だ!」っていうモードにならないのもどうなのかな?とも思うんですけど、これまでの周年もどれも同じように全力でやってきたので12周年だからといってそこまで気負いはないですし、でもここから何が出せるのかっていうのは常に考えているので……やる気、あります!
一同:(笑)。
────しょう。さんは加入してからの4年間を振り返ると、いかがですか?
しょう。:加入して、2年目ぐらいから「自分のバンドだな」っていう気分になってきましたね。正直、加入当初は借りてきた猫状態だったというか、オリジナルメンバーに気を遣っていた部分もあったんですけど、自分から意見を言うようになってるなって気づいたあたりから、「自分のバンドだ」っていう実感が持てるようにもなりましたね。
たくま:12周年を迎えるにあたってしみじみ思うのは、お客さんとか事務所とか、周りの関係者の方に支えられてきたなっていうことなんですよ。きっと、これまでに関わってくれた誰が欠けても俺らは活動できなかったと思います。
────2月15日、16日に池袋BlackHoleにて開催される12周年ワンマンライヴは、1日目が“Type.H『お前ら馬鹿なんじゃねえの?』”、2日目が“Type.S『君はなかなか頭が良いね』”ということですけれど、この2日間はどういった内容になるんでしょうか?
ジェネ★:Type.Hは“HARD”、Type.Sは“SOFT”で、どんな曲をやるのかっていうのをSick²なりの言い方で表したのが、それぞれのライヴタイトルになってる感じですね。ま、二極化したライヴになるのかな。
────なるほど。“馬鹿”と“頭が良い”をどう解釈するかがポイントかもしれないですね。これ以降もとにかく話題が豊富で、まずは3月5日にリリースされるニューフルアルバム『Lagrange point』に話題を移します。今回は12曲のうち新曲が2曲と再録含む既存曲が収録されますが、こちらはどういった位置づけのアルバムになるんでしょうか?
ジェネ★:言ってしまえば“ベスト”に近いものにはなるんですけど、やっぱり12年分をCD1枚でまとめるのって、なかなか難しいんですよ。だからあえて“ベストアルバム”っていう言い方はしていないんですけど、12年も活動していればある一定時期のSick²しか知らないっていう人もいると思っていて。だからあえて言うならば、“名刺代わりになるアルバム”なのかな。年代ごとのSick²らしさを象徴する曲を厳選したアルバムですね。
────言わば、タームごとに話題を作ってきた代表曲たちでもあると思いますけれど、そういった楽曲をジェネ★さん自身が今振り返ると、どんなことを感じます?
ジェネ★:そうっすね……曲ごとにコンセプトを考えるわけですけど、よくもこんなにバラバラなものを考えたなぁ、と。“このバンドはこう!”っていうひとつの雰囲気とかコンセプトを貫くバンドも筋が通っていていいと思うけど、その都度やりたいことをやってきて、「でもSick²だよね」って言えるところは僕らにとって大事な部分だし、武器だと思います。そういうこともひっくるめて、よくこんなにバラエティ豊かな曲をシングルで出してきたなと思う。
────バラエティ豊富でも、毎度切り口が鋭い世界観だったりキラーフレーズが登場したり、それをバンドの存在感やサウンド感に落とし込んでいくところはSick²らしさだなと思います。
ジェネ★:そうそう。でも、やっぱり思うけど……ちょっと“変”ですよね、僕ら。
一同:(笑)。
ジェネ★:いや、たしかに言われるんですよ、「ここでその言葉持ってくるの!?」とか。改めて聴くと「あー、なんかいろいろあったな」って思うけど、それをメンバーみんなのおかげで“Sick²の良さ”にできてる部分は大きいと思う。
祭-まつり-:振り返ってみると、自分が当時影響を受けていたものがわかりますね(笑)。そうやって自分のことを客観的に見られたし、またここから新しい感覚で臨めるなっていうアルバムが出せたのは嬉しいし、良い感じです!
たくま:やっぱり、当時の制作のときのことは思い出しますね。今聴くと、「このアレンジは逆にどうなん?」みたいなのもあるし。それは、「結構おもしろいことしてるなぁ」っていう意味でね。
────ちなみに、今でも「斬新だな」と思える曲を挙げるならば?
たくま:「ミーハーを葬る唄」かなぁ。「この曲にこの歌詞を乗せる!?」みたいな、ある意味不一致な掛け合わせがSick²らしさに繋がってるところもあるというか。
祭-まつり-:たしかに、「ミーハーを葬る唄」はすごく盛り上がる曲でもあると思うんですけど、その時代に沿ったブームも追いつつ、自分らしさもプラスしつつで作った記憶がありますね。ま、その時々にいい曲が降ってくるんですよ!
────さすがです! しょう。さんにとっては加入前の楽曲が今回再録になっていて、Sick²の過去の曲にレコーディングとして触れる機会にもなったと思いますが、いかがでしたか?
しょう。:自分にとっては2年前に加入してからいっぺんに50何曲触れてきたもんだから、曲に対して新しい・古いって感覚が正直ないんですよ(笑)。ただ、Sick²の楽曲は最初からアレンジがちゃんとできているから、「自分だったらこうしてやろう」みたいなことを挟む隙がないぐらいしっかり作られているんですよね。逆に、無理やり自分の要素を入れ込んで邪魔しないように気をつけてる感じではあるんですけど、それもだんだんリスペクトが強くなって、そういうふうに思えるようになったっていうのもあります。
「Sick²らしさって何かな?」って考えて、そこの軸はブレずに生まれた形ですね。
────そして「NEUTRINO」(ニュートリノ)と「WOOF!!!」(ワフ!!!)という2曲の新曲に関しては、どういったイメージで制作をされたんでしょうか?
ジェネ★:やっぱり12周年にかけて、新曲の構想としても“12”っていうのはすごく考えたんですよ。それに、“12”っていう数字は僕的にも結構特別で。バンドの周年っていうところで言うと、10周年とかに比べるとサラッと流されちゃう感じもあると思うんですけど、例えば暦とか時間って12刻みじゃないですか。それは、一年を四季で分けると4で割り切れるとかっていう、明確な理由があるんですけどね。
────たしかに、そう考えると“12”って割と身近で特別な意味を持っているようにも感じます。
ジェネ★:そのなかでも、僕のなかでパッと浮かんだのが“星座”だったんですよ。最近は13星座なんていうのもあるけど、それも加味するとこれから“1”を足していけるっていう意味にもなるから、まずは星座に関することを頭に思い浮かべていたんです。もともと僕自身が天体とか宇宙科学が好きなんで、そこにバンドのことを掛け合わせてSick²らしさを出せたらいいなと思って。天体って、だいたい神話と密接な関わりがありますけど、Sick²なりに現代にそぐう神話を構築したいなっていう、ちょっと壮大なことを考えてできたのが、リード曲の「NEUTRINO」です。
────その宇宙科学における壮大さは、アルバムタイトルの『Lagrange point』にも繋がりますね。
ジェネ★:そう。それで、「NEUTRINO」の歌詞には僕らと自分たちのファン、もっと言えばSick²のことを知ってくれているすべての人たちのことを書いているんです。「WOOF!!!」は現状ミックス段階ではあるんですけど(※取材は1月中旬)、一言で言えば“明るい曲”になるのかな。ヴィジュアル系では新鮮なPOPさもある曲ですね。“WOOF”っていうのは犬の鳴き声で、この表現は愛情表現の意味もあるみたいなんですけど、「NEUTRINO」の続きというよりは、「NEUTRINO」で書ききれなかった自分たちとファンとの関係性について僕なりの表現で書いてるのが「WOOF!!!」ですね。その“関係性”っていう部分が、今回僕のなかで大事な部分だったんで。
────「NEUTRINO」は、メロディアスなサビのほかにもクラップやシャウトなど、いろんな要素が凝縮された曲になりましたね。
祭-まつり-:初めからジェネ★さんが「12か。星座だな」って言ってたんで、俺的にはサビの広がりは夜空をイメージしていて、意識は共有して作れたんじゃないかなと思います。あとは「Sick²らしさって何かな?」って考えたときに、ガチャガチャ感というか、いろんな要素を詰め込んだおもちゃ箱みたいな曲がそうじゃないかと思ったんで、そこの軸はブレずに生まれた形ですね。
────ちなみに、「WOOF!!!」はどんなイメージだったんでしょう?
祭-まつり-:それこそ最近ブームなのが、1曲をガッツリ作ったら、もう1曲は勢いで作るっていうことなんですよ。とにかく、ツルッと作る(笑)。今回は、「WOOF!!!」がそれですね。今までのSick²の曲の要素もありつつ結構盛り上がりそうな楽しい曲なので、お楽しみに!
たくま:「NEUTRINO」は切なさもありながらガチャガチャ感もあって、Sick²らしさが詰まってると思います。「WOOF!!!」のほうはライヴ映えするニュアンスで、ほかのバンドがやっていないようなテイストの曲。レコーディングに関しては、祭-まつり-の作る曲は世界観がわかりやすいんでスムーズにいけましたね。
────しょう。さんは、新曲についてはいかがでしょうか?
しょう。:「NEUTRINO」は、きっとすごい曲になるんだろうなと思っていたんですけど、ただロックはロックでカッコ良さもあるんで、ドラムは大きい動物みたいなイメージで力強く叩きました。「WOOF!!!」は、カントリーとかのパーティロックみたいな感じもあるので、こっちのドラムはシンプルに叩くことを考えましたね。
────新曲2曲を含め、結果的に12周年ということにも繋がるいいアルバムになったんじゃないかと思います。
ジェネ★:そうですね。「NEUTRINO」に関しては曲自体に自信があるのはもちろんなんですけど、サビのメロディが個人的にSick²でも1位、2位を争うぐらい好きなんですよ。感染²で出した「VIRUS」と、今回の「NEUTRINO」のサビのメロディがツートップ。だから「NEUTRINO」はサビのメロディを最大限に活かしたくて、サビの歌詞だけは捻らずにストレートにしたのも意図的で、サビでほかの部分が補完されるようなイメージで書いたんですよね。なんなら、Sick²史上一番くらいのベタベタさというか。
────ロマンチックな感じすらありますもんね。
ジェネ★:そう。今、「NEUTRINO」のサビの部分だけがスポットで流れてるんですけど、観た人はたぶん「どうした!?」って思ってるんじゃないかと(笑)。
「やっぱりSick²だよね」っていう感覚を取り戻させたいと思っているんです。
────3月からはアルバムのリリースツアー“…君の生存可能圏”が始まりますが、久々の大規模なツアーになります。
ジェネ★:ここ何年かは東名阪くらいしか行けてなかったんで、久々に行けるところも組み込まれているんですけど、アルバムの収録曲を披露するっていうこと以上に久しぶりに行く場所のお客さんのことを考えていて。少し時間が空いた期間にほかのバンドのライヴを観たり、ほかの趣味を見つけたりした人もいると思うんですけど、「やっぱりSick²だよね」っていう感覚を取り戻させたいと思っているんです。今まで地道にやってきたものがあるからこそ必ずいい答えに導いていけると思うので、今回のツアーはそこがポイントですね。
祭-まつり-:きっと、その土地の地元のファンのなかにはSick²を久々に観る人もいると思うので、まずは過去と現代を繋ぐ、そして各土地を繋ぐツアーにしていきたいなと思います。ここから13年、14年と先にも繋げていける大事なポイントにもしたいです。
────それこそ、メンバー自身も全国を回っていた頃の感覚を取り戻すというか。
祭-まつり-:そうですね。もう、思いださせてやりますよ!
ジェネ★:ここ最近の東名阪規模で回っていたことも初心を思いだすっていう意味ではすごく良い機会ではあったんですけど、またここから全国各地を攻めていこうかなっていう気持ちはたしかにありますね。12周年を迎えるけど、まだまだ新人バンドと同じくらいの気持ちではあるので。
たくま:ジェネ★さんが言うとおり、フレッシュな気持ちも持っていけたらいいと思いますね。今回のツアーは「久しぶり!」っていう気持ちと、パワーアップしたSick²を見せたい気持ちもあるので。
しょう。:自分としては、このツアーで12年前からSick²を知っている人と今Sick²を知った人との差がなくなればいいなと思ってるんですよね。ライヴで着る衣装がSick²始動当時のオマージュ要素もあったりするし、『Lagrange point』に収録されている曲さえ知っていればSick²のライヴが楽しめるっていうくらい強い曲が揃ったアルバムを引っ提げてのツアーになるので、みんなが同じラインになれればいいなと。それができれば、あとから加入した俺もいっそう居心地が良くなれるんじゃないかと思うので。
────これを機に、足並みを揃えて同じスタートラインに並ぶことができれば良いですよね。そして、ツアーファイナルは8月27日にVeats Shibuyaにて行われますけれども。
ジェネ★:少し先の話にはなりますけどね。オーディオマニアな僕から言わせてもらうと、Veats Shibuyaは音響に関して計算し尽くされた環境なので、この規模感の会場のなかでは確実に一番音がいいんですよ。集大成的なアルバムのツアーをそういう箱で締めくくれるっていうところでも、“Sick²が12年間やってきたこと”を存分に出せると思います。Sick²的には全部ホームランみたいな曲ばかりのアルバムだけど、ライヴともなるとヒットとかバントが必要なわけなので、各地を回るなかで得た発見をフィードバックしながらセットリストを構築していきたいですね。……ってか、なんか今日マジメだな!?
────12周年目前の節目ですし、こういうタイミングで見せるちょっとマジメなところもギャップがあっていいじゃないですか!
ジェネ★:ま、こんなそこそこ長いインタビュー、ここまで読んできたヤツ全員暇だな~、バーカって思ってますけどね!
取材・文:平井綾子
写真:LUM.
LIVE
12周年2DAYSワンマン
Sick² 12th Anniversary Type.H
『お前ら馬鹿なんじゃねえの?』
2025年2月15日(土) 池袋Black Hole
Open 17:30 / Start 18:00
Sick² 12th Anniversary TypeS
『君はなかなか頭が良いね』
2025年2月16日(日)池袋Black Hole
Open 17:30 / Start 18:00
『Lagrange point』RELEASE ONE MAN TOUR
『…君の生存可能圏』
3月12日(水)浦和ナルシス
3月20日(木祝)今池3STAR
3月23日(日)心斎橋soma
4月14日(月)心斎橋VARON
4月16日(水)福岡graf
4月17日(木)福岡graf
4月26日(土)池袋Black Hole
4月27日(日)千葉ROUTE14
5月11日(日)長野ALECX
5月23日(金)HOLIDAY NEXT NAGOYA
5月24日(土)西九条BRAND NEW
5月28日(水)沖縄Output
5月29日(木)沖縄Output
6月11日(水)仙台spaceZero
7月7日(月)心斎橋CLAPPER
7月10日(木)名古屋MUSIC FARM
7月17日(木)札幌Crazy Monkey
7月18日(金)札幌Crazy Monkey
平日公演 Open 18:00 / Start 18:30
土日祝公演 Open 17:30 / START 18:00
-TOUR FINAL-
『女の子をだますだけの簡単なお仕事です。Vol.16』
2025年8月27日(水) Veats Shibuya
Open 17:30 / Start 18:00
RELEASE
★Sick² NEW FULL ALBUM
『Lagrange point』
2025年3月5日(水)
関連リンク
【Sick² OFFICIAL】
◆Official Site
◆Official X
◆Official Youtube Channel
【各メンバーSNS】
◆Vocal.ジェネ★
◆Guitar.祭-まつり-
◆Bass.たくま
◆Drums.しょう。