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【メリー・ガラ】3年半ぶりのフルアルバム『The Last Scene』&全国ツアーに向けて単独インタビュー!「自分の人生の終わりと向き合った時に一番言いたかったことだった」

メリーがフルアルバム『The Last Scene』を2月12日にリリースする。
3年半ぶりとなる本作は、変貌をはかり外側へと向いた前作『Strip』とは対極的に内面に向き合うものとなった。
この数年で直面した数々の“別れ”を経てガラ自身が向き合うこととなった“生と死”。
概念的にも物質的にも白黒がついてしまう非情なテーマの先に見出した“最後の場面”には一体何が映っているのだろう。

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人生は映画みたいなもの


────メリーにとっておよそ3年半ぶりとなるフルアルバム『The Last Scene』が2月12日(水)にリリースされますが、前作『Strip』とはずいぶんアプローチが変わったように感じます。

ガラ:前作はメンバーの脱退っていうものが正直大きかったので、“新しいメリーを見せなきゃ”とか“この4人のメリーに何ができるんだろう?”っていうところに一番焦点を当てたんですよね。でも、結果的には今まで続いてきたメリーってこういうバンドだよね?っていう根源を再確認するアルバムになったと思ってます。

────今作『The Last Scene』はそこから4人で進んできたここ数年間のメリーがよりダイレクトに表現されてますよね。ギミカルではなく。

ガラ:4人のメリーっていうテーマに向き合うことは、前作で出来たので自然とそうなったんだと思います。今作『The Last Scene』は久々のアルバムで、この数年の中で起きたいろいろな出来事を受け止め、自分の中で出てきたものを形にしてます。それこそ個人的なことになっちゃうけど“こういう人になりたいなぁ”と、憧れていた方たちが亡くなってしまうことが多くて。その出来事自体もとても悲しかったし、改めてバンドって永遠じゃないんだなってリアルに感じたことが、この作品に踏み出すきっかけでした。

────それこそBUCK-TICKは4人で歩み続けていますけど、ガラさんとしては自身の終焉の時を考えるきっかけになったわけですね。

ガラ:なんかね、すごくリアルだった。これはキャリアとか年齢もあるんだと思うけど、これから生きていくとこういう別れが増えていくんだなってことを身に沁みて感じた数年でした。もちろん、自分自身のことを想像しなかったって言ったら嘘になるし、俺はいつまでバンドできるんだろうって考えたし、もし終わりが来る時は“人生最高だったなあ”って笑って終わりたいなって思う。その最後の場面ってどんな景色なんだろうって探しながら歌詞を書いていきました。

────『The Last Scene』、まさに最後の場面。

ガラ:タイトルがちょっと重たいかなと思ってメンバーに相談したんですけど、“ガラが今それを歌いたいなら、それがメリーの本質だよね”って言ってくれてこのタイトルにしましたね。

────昨年の<ラムフェス2024>で発表された時はどうしても、真意を探ることが躊躇われるタイトルでもあったんですよね、正直なところ。

ガラ:そうっすよね(笑)。seekからすぐ連絡来ましたもん。“ガラさん、このタイトルはあかんっす!ファンが心配になっちゃいますよ”って(笑)。アイツ真面目だからさ。

────ご自身も『〜エピローグ〜語り継がれる物語』ってタイトルで一度Psycho le Cémuが止まったことがあるから余計にそう感じたのかもしれないですね。

ガラ:あ、なるほどね。それはあるだろうね。だから、こういう理由と動機でこのタイトルなんだよって今言ったことをseekにも説明して(笑)。それで腑に落ちたみたいです。

────実際のところメリーの活動は活発になっているし、終わりへ向かうどころかライヴしまくりなんですけどね。止まる素振りもないですし。

ガラ:もちろん、別にこのタイトルだから解散するなんてまったくない。でも、バンドってスポーツ選手と違って、引退ってないじゃないですか?だからこそ、こうやってずっと続いていることが当たり前だと勝手に思い込んじゃった部分もあったんですよね。変な話、先輩方が超元気じゃないですか?そういう先輩方を見てきて、俺もああいう風にいつかなるんだろうなって考えてたけど、やっぱり永遠なんてないんですよね。

────前作『Strip』はまさに裸になるように現在地のメリーを曝け出すものでしたけど、今作『The Last Scene』ではよりガラさんの内面が露わになっている印象があります。音楽的にはいかがですか?『Strip』はアジアンテイストやエスニックさがあって異国情緒も感じさせるものでしたが、『The Last Scene』はよりストレートに感じます。

ガラ:前作はかなり新しいことを意識して作ったんですけど…面白いものだなと思うのが、自分たちでは2、3歩踏み込んで仕上げたつもりでも、聴いてみるとやっぱりメリーのアルバムなんですよね。

────培ってきたバンドの強靭さが形になってますよね。

ガラ:もっと違うところには行ったつもりだったんですけどね(笑)。

────『The Last Scene』は音楽的引き出しも豊富だけど、中心にあるメロディが美しいしちゃんと哀愁もあって、まさにメリーってこれだよねっていう核に近い気がします。それにどこかフレッシュさも感じるんです。

ガラ:あ、そういう印象もあるんだ。『Strip』は楽曲に対しては俺の意見も結構反映されてるんですよ。でも『The Last Scene』は楽曲については全部お任せ。誤解を恐れずに言うと、曲は何でもよかったんです。

────それは歌詞の世界と向かう方向が定まってたからということですよね。

ガラ:そう。だから、みんなから上がってきた楽曲から受けたインスピレーションで、今回の世界にマッチする主人公像を作り上げて、それを演じ分けるっていうアプローチでしたね。結果的に結生くんは、バンドをやりたんだなって感じさせるものになってますよね。みんなで音を鳴らしたいんだなって。それがフレッシュに感じた要因かもしれないですね。それこそ2曲目の「Smell」とかも、初期のメリーの一瞬の花火みたいな爆発力があるし。昔は一瞬の儚さを表現していたけど、24年目になるとそこに余韻も加わっていて、当時を思いこさせながらも音楽的にちゃんと磨かれているなと。

────今作は全曲イントロからハッとさせるバリエーションも豊かですけど、曲間やアウトロの余韻も大切にされてますよね。

ガラ:線香花火が消えた後の余韻みたいなね。そういうところはうまく表現できてると思います。

────4人のバンドとしての輪郭もくっきりしていて。

ガラ:バンドって感じですよね。

────改めてアルバムの世界についても伺いたいんですけど、アートワークやアーティスト写真からも明らかなように今回は“映画”がモチーフですよね?

ガラ:そうですね。今回は自分の人生を描こうと思ってたんですけど、そのときに“人生は映画みたいなものだなあ”ってふと浮かんできたんですよ。良い時も悪い時もいろいろあるけど、そういうもの全部があったからからこそ今、自分がいる場所があって、何かを失ったりしてもそれは失っただけじゃなく、逆に与えられていたんだなって気づかされたりもして、そんな想いを歌詞に落とし込みたかった。終わりの場面と向き合った結果、自分の人生を短編映画にしてみたくなったんですよ。今回はSEを含めて11曲入ってるんだけど、1曲ずつに自分の想いを込めて、俺やメリーの人生を映すフィルムになってほしいなって。

────ところがアルバムはいきなり「endroll」から始まります。この逆転の発想がメリーっぽいなと思わされつつ、壮大かつ繊細な名バラードです。

ガラ:人生も物事も全部始まりがあれば終わりがあるじゃないですか?今回はその終わりをめちゃくちゃ意識しながら作ったんで、言ってしまえば、これは終わりの始まりですね。「endroll」なんだけど、終わりってだけではなくて始まりでもある。自分たちの人生がどうだったのか?理想的な音楽人生をまっとうできたのか?振り返るように遡って、最後はエンドロールに辿り着きたいなという想いで1曲目にしました。俺の中ではオープニングの「endroll」と最後の「The Last Scene」でアルバムの曲たちを挟んでることに意味がありますね。

────バラ―ド始まりなことも驚きました。

ガラ:そこもメンバーと話をしました。さっきも言ったように、今回は楽曲の主人公を演じる“歌い手”であるべきだと思ったので、曲もメロディも結生くんに任せてます。その音楽に対して、自分の中の“生と死”をどれだけ詰め込めるかにフォーカスしました。

────短編映画を演じ分けていく中でバチッとハマったのはどのあたりの曲ですか?

ガラ:「背徳のスケルトンダンス」と「マチコの夢」かなぁ。「背徳のスケルトンダンス」もメリーの初期っぽさがあると思うんだけど、ライヴの光景も想像しながら書けました。

────白黒つけることを迫る焦燥感のなかにもグラマラスさがありますよね。ライヴ感も強くて。

ガラ:あ、これが結生くんの曲なんだなって思わされますよね。

────「マチコの夢」はサンバ調の柔らかい楽曲なのに最後に一気に突き放されるようなエグみもあります。

ガラ:いつも笑顔でいるんだけど、本当は寂しい女性の歌ですね。この主人公は、どこで自分の人生間違っちゃったんだろうなって日々思いながら生きていて、それが自分にも似ている気がするんです。だからスッと書けたんだと思います。生まれてきた自分とは違う自分になりたいっていう変身願望ですよね。俺らバンドマンも華やかなステージから一歩降りた時には、やっぱすごいさみしいですし、普通の人間に戻っちゃいますからね。そうじゃない人もいると思うんですけど、俺はステージにいる自分と普段の自分っていうのは全然違うなって感じてるので、この主人公の気持ちにはよりリアリティがあると思う。

────この明るい曲調がより物悲しい虚無を生み出しますよね。

ガラ:そこは俺がひねくれてるところかもしれないですけど、なんか明るい分、闇も大きいんじゃないかなって勘ぐっちゃうんです。逆に闇の中に一筋の光があったら、それがより明るく見えることもありますしね。俺の天邪鬼な部分が出てると思う。すごい晴れてる日にかぎって、雨降る歌詞を書いてみたくなったりするんですよね(笑)。

────その前の4曲目「スターチス」が刹那を感じるメロディにストレートに悲壮感漂う歌詞が乗るからこその対比も大きいですよね。「スターチス」もまさにガラ節な名曲だと思います。

ガラ:自分の声質もあると思うんだけど、俺は哀しみを歌うヴォーカリストなんですよ。悲しみだったり悲哀を鳴らすのがメリーなのかなと思います。

────結生さんがガラさんにハマるメロをズドンと当ててきてますよね「スターチス」は。SEの「-node-」を挟んだ「「次はお前の番だ」」はそのタイトルが連呼されるダンサブルな楽曲ですが、タイトル自体もかなり意味深です。

ガラ:今の時代って、何かひとつのきっかけで積み上げてきたものが台無しになると思っていて。そういう世の中である以上、いつ誰に降りかかるかわからないんだぞって、これは自分にも他人にも歌ってます。それこそ、バンドに永遠はないっていう着想とも繋がる部分かな。テツさんの曲なんだけど、ループしているバックから狂気を感じたのでそれを落とし込みました。テツさんの曲は混沌としていて暗い雰囲気ですよね。以前はサビとかも少しずつ歌詞を変えることが多かったんですけど、今回は全体的に歌詞を繰り返すことが多いですね。伝えたいことがちゃんと伝わればそれでいいなって思ってます。

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