【SUGIZO】「SUPER LOVE 2024 feat. Chloe」 MV(ミュージック・ビデオ)公開

昨年12月18日に配信リリースされた「SUPER LOVE 2024/SUGIZO feat. Chloe」(※)のMV(ミュージック・ビデオ)が、3月14日、SUGIZO GIG 2025「REMEMBER,WHERE IS YOUR SUPER LOVE?」を前に満を持して公開された。
▼「SUPER LOVE 2024/SUGIZO feat. Chloe」
注目すべきは、近年の“SGZ MUSIC”における映像美――例えば、つい一カ月前に公開されたばかりの「光の風と/SUGIZO feat. SAKI」や、「Rebellmusik/SHAG」(2022年)、「Muladhara/SUGIZO×HATAKEN」(同)のような耽美的かつアーティスティックなMVたちーーとは趣を異にする、60~70年代ポップ・カルチャーを彷彿とさせつつ、それらのスピリットを丁寧かつ遊び心をもって現代にアップデートさせた軽快でビビッドな映像作品だという点だ。
そもそも「SUPER LOVE」のオリジナルは、2002年、SUGIZOが子供の頃に無意識に影響を受けたというフィラデルフィア・ソウルやファンク、バート・バカラックやアントニオ・カルロス・ジョビンなどに代表されるサウンド・トラック、ボサノバ、そして沢田研二ら当時の日本歌謡曲の名曲といった音楽的ルーツに立ち返って生み出した作品。彼のポップサイドにおけるメロディメーカーとしての魅力が凝縮された曲であり、加えてキレのあるギター・カッティングや艶やかなソロ・フレーズはまさに“SUGIZO節”として根強い人気を誇る一曲だ。10年後の2012年にはCOLDFEETとタッグを組み、BPM=130のハウス・ミュージックとしてリメイクするなど、SUGIZO自身にとっても、長いキャリアの中での重要な一曲となっている。ところがSUGIZOは「(2002年のリリース当時は)自分の表現力が追いつかなかった」「近年の自分の軸となっている音楽性からは逸脱している」(※※)といった想いから、この10年ほどは積極的に取り上げることがなかった楽曲だ。
転機が訪れたのは、奇しくもリリースから20年目を数えた2022年。ソロ・デビュー25周年記念ベストアルバム『THE COMPLETE SINGLE COLLECTION』制作時に「現在でも通用するなという再発見」(※※)から再ミックスを行うと、同記念ライブ≪SUGIZO 四半世紀祭 25th ANNIVERSARY GIG≫でシンガーChloe(パジャマで海なんかいかない)と共演。彼女がこの曲に新たな息吹をもたらすと、「今の自分のスキルとセンスで、今の自分が思うベストな仲間たちと、この曲を蘇らせたかった」(※※※)というSUGIZOの想いから、想像を超えたケミストリーの産物として「SUPER LOVE 2024」が誕生したのだ。それはいわば、2002年にSUGIZOが音楽的に真に表現したかった「SUPER LOVE」の完成形。同じように、当時のSUGIZOの脳内で溢れんばかりに広がっていたイマジネーションこそが、このMVで描かれている映像世界だったのではないだろうか。
公開されたMVは、現代の最新CG/AIテクノロジーとは真逆の、むしろそれらに対するアンチテーゼとも言えるようなアニメーション合成/映像エフェクト技法によって作り上げられた新鮮で刺激的な作風。しかも、それらの技法を下世話な懐古主義的に用いるのではなく、あくまでも品格とユーモアを備えた切れ味の鋭い映像表現として取り入れている点が実にお見事だ。懐かしさと新しさ、ユニークさとシニカルさが入り混じった映像は、楽曲のグルーヴ感と相まって、聴き手の想像力を宇宙のように無限に広げてくれる。
そこで描かれているのは、誤解を恐れずに言えば現実にはあり得ない虚構の世界だ。だがしかし、虚構であるからこそ時に真実を超えたリアリティを放ち、現実の世界では見ることができない光を我々リスナーの心に照らしてくれる。それこそが、アートであり、音楽であり、フェイクとの最大の違いだ。そう、これはフェイクにすっかり慣れしてしまった現実世界へのリアルなカウンターなのだ。そういう目線でMVを見ると、そこにはSUGIZOの音楽的ルーツのみならず、幼少期~思春期に美意識や美的感性を大いに刺激されたアート/カルチャー的ルーツに対するオマージュがいくつも潜んでいることに気が付く。サイケデリックをはじめとするそれら60~70年代のアート/カルチャー・ムーブメントの根底には、「愛と平和」「反戦」「自由」といった思想が宿っていたことを忘れてはならない。つまり、近年の“SGZ MUSIC”の中では異彩を放つMVでありながらも、実はそこにもSUGIZOの精神を貫く通奏低音のような意志が流れているのだ。
そんな「SUPER LOVE 2024」が中心となるSUGIZOの単独公演「REMEMBER,WHERE IS YOUR SUPER LOVE?」≫の開催が3月23日(日)に迫っている。同ステージには、バンド“COSMIC DANCE SEXTED”ヴォーカルとしてChloeが出演するほか、スペシャルゲストとして「SUPER LOVE 2024」プロデューサーWatusi(COLDFEET)も参加。さらに、手越祐也、MORRIE(DEAD END、CREATURE CREATURE、GODLAND)、ミヤ(MUCC、Petit Brabancon)のゲスト出演も発表されている。スペシャルな一夜限りのライブは、既にチケットが残りわずか。見逃さすことがないよう、MVと併せて2025年の“SGZ MUSIC”をぜひとも体感してみてほしい。
Text by 布施雄一郎
※今年にリリースが予定されている、楽曲ごとに異なる女性ボーカリストを迎えるというコンセプトが融合したソロ・アルバム『ONENESS F』のリード・トラック
※※ソロ・デビュー25周年記念ベストアルバム『THE COMPLETE SINGLE COLLECTION』ブックレットより
※※※「SUPER LOVE 2024/SUGIZO feat. Chloe」プレスリリース・コメントより
LIVE

▼公演概要
SUGIZO GIG 2025 REMEMBER,WHERE IS YOUR SUPER LOVE?
日程:3月23日(日)
会場:EX THEATER ROPPONGI
時間:Open 16:30 / Start 17:30
出演:
SUGIZO
COSMIC DANCE SEXTED
Vo:Chloe
Syn:MaZDA
Per:よしうらけんじ
Dr:Komaki
VJ:ZAKROCK
SPECIAL GUEST
Vo:手越祐也
Vo:MORRIE (DEAD END , CREATURE CREATURE , GODLAND)
Gt:ミヤ (MUCC , Petit Brabancon)
Ba:Watusi (COLDFEET)
チケット詳細はこちら
https://sugizo.com/contents/236711