【Royz】ライヴレポート<Royz ONEMAN TOUR 「幻影都市から愛を込めて」-TOUR FINAL->2025年4月19日(土)Zepp Shinjuku◆ワンマンツアー「幻影都市から愛を込めて」-FORM Ⅰ- にて完成させた、未来を戦い抜くためのトランスフォーム────「時代を一緒に作ろうか!“俺ら”を止めてみろ!」

Royzは今、自らの未来にある可能性を確実に掴み取るため、戦いの最中にある。そのメインストーリーに据えたのが、『幻影都市から愛を込めて』と題したワンマンツアーだ。今回はFORM Ⅰ,FORM Ⅱと二段階構成となっており、3月から全13公演を行なってきたFORM 1のツアーファイナルが4月19日、Zepp Shinjukuにて開催された。この日のライブの最後に昴は、各自能力を備えた仲間を引き連れ、レベルアップしながら敵(目標)を倒しに行くという今回のツアーやバンドの現状を“ロールプレイングゲーム”と実にしっくりくる例えを挙げて話していたが、FORM Ⅰの敵(目標)となったZepp Shinjukuは見事にSOLD OUTを記録! これは、Royzが確実にフェーズを上げてきていることの証拠に他ならない。
実際、FORM Ⅰを締めくくる舞台へ登場した彼らは、ゲームでいうボス戦を控えているかのような厳粛なオーラを放っていた。そして、「月光」の重みのある幕開けに続いたのは、今ツアーの軸とも言える、3月にリリースされたマキシシングル「TRANSFORM」。冒頭2曲の展開はツアーを通して共通していたのだが、ツアーファイナルのアクトを目の当たりにし、これはある種『幻影都市から愛を込めて』という物語におけるプロローグではないかということに気が付いた。
〈誰にもなれなかった夜〉に佇みやるせない思いを歌う「月光」から、弱い自分に強い鎧を纏わせ“変身”させることで、前進する意志表明をした「TRANSFORM」の流れで見せた進化論。そして、「TRANSFORM」で示した臨戦体制は、メンバーとファン共々鼓舞していく、リアルタイムなRoyzの主張でもある。こうして、「愛を込めてお前に歌うよ。さぁ、はじめようか東京!」と叫びあげた昴の言葉からも明確な、戦いへと挑んでいく“夜明け”とも取れるオープニングを巧みに作り上げたのだった。そして、登場時からすでに漂わせていた地に足つけた存在感は、杙凪のギターがよりエッジを極めた「阿修羅」や、公大のベースから突入した「メイズギア」でも感じられ、頼もしさすら感じさせる激しさや勢いが会場の熱を高めていく。


「“愛”なんかより、もっと深いもので支配します。最後までよろしく!」と昴が挨拶を交えながら続けた「VENOM」では、ダイナミックに愛執が爆発。「洗礼」ではサビで踏み鳴らした智也のツーバスが一層高揚感を煽り、杙凪が奏でるシンボリックなギターフレーズに沸いた「胡蝶蘭-ファレノプシス-」と、両曲ともイントロで歓声が起こったことも納得なほどにアグレッシヴな情景を生みだした。それは、昴が頻繁に叫んでいた「派手にやろう!」という言葉をそのまま画にしたかのようでもある。さらに、間に披露された「Emotions」ではソリッドさの中にどこか神格化した雰囲気も帯びていて、楽曲が持つポテンシャルを高めるステージング力もありありと見せつけた。

Royzにある表現力の高さは、ノスタルジックに愛を歌う場面でも存分に発揮。慕情を掻き立てる「紫苑」や、昴がスッと上着をずらして肩を出し、心なしか鼻にかけた歌い方で聴かせた「純情キャットライン」でもミラーボールが映えるムーディーな雰囲気をものにし、背伸びではい大人っぽさや切なさにかられる楽曲で魅了してしまうところも、彼らの強みとして特筆しておきたいところ。
「『幻影都市から愛を込めて』、改めてRoyzです、よろしくお願いします!ありがとう、ソールドアウ卜です!最高のステージやるからな!ミュージシャンだからそれしかできねぇんだ、バンドマンだからそれしかできねぇんだ、それでいいか!?」(昴)

感謝も意気込みも、シンプルに“音楽”を通して伝えようとしていた様子が印象的だったこの日。これは、あらゆる面でスキルフルな今のRoyzだからこそできるワザであることを物語っていたと同時に、かといって玄人ぶるのではなく、転換ごとにメンバーが目を合わせながら、都度「行くぞ!」という声が聞こえんばかりの衝動をステージ上から放ち続けていた。そして、ライブが終盤に差し掛かるにつれて、ツアータイトルにもある“愛”を強調していく熱い展開が待ち受けていた。まず、「RAIZIN」では智也が打ち付けた一打にリバーヴがかかり、深みを増した中で昴はまっすぐ手を客席へと突き出して「俺と手を繋いでくれ――離すんじゃねぇぞ!」と叫ぶ。ここでハッとしたのが、「RAIZIN」にも〈夢が死んだ都市の底から〉とあるように、ネガティブを感じるものから這い上がる魂は今、突発的に発生したものではないということ。しかし確かなのは、逆境からのし上がっていく先陣をRoyzが歩いてくれているということだ。そのバイタリティともなるものを、「怪物行進曲-モンスターマーチ-」では〈除け者たち〉といったマイノリティーを武器に一斉に踊りだすことで表すも、〈僕らより命がうんと短いのに!〉に続けて「だから楽しまないと損だよ!?」と無邪気な表情も垣間見せる。さらに、「KAMIKAZE」は「コロナ禍に生まれた、一緒に戦ってきた大事な子供のうちの1曲」と紹介しながら、「そろそろ今の時代に似合う洋服を着せてやりたい」と、惜しみなく歓声を煽りながら生命感あふれるライブアレンジで披露した。こうして、すっかりキラーチューンとなった「キュートアグレッション」で豪快にフロアを揺らしたあと、「千年先よりも、今を歌おう」と「Eva」で晴れ晴れしく本編を締めくくった。Royzスティック(ペンライト)の光も手伝って目の前に広がるコズミックな景色は、「まだこの世界を憎めるわけねぇ、行くぞお前ら!」と曲の最後を歌い替えた昴の言葉を後押しするように輝きに満ちていた。
アンコールでは、今ツアー中に実行していたいくつかの挑戦の一つでもあった“歌ってみよう!丸の内チャレンジ”(※SNS投稿コンテスト企画)にも触れ、SNSで反響を生んでいる「丸の内ミゼラブル」を撮影可能として披露。現在、SNS上で“#Royzに堕ちよう”というタグ付きで溢れている動画をご覧いただければ、本編中でも触れた通りノスタルジーな恋模様を歌う楽曲から見えるRoyzの魅力の断片に触れられるはずだ。さらに、絆を確かめ合った「ACROSS WORLD」を経て、“下剋上”を合言葉に強く未来への意気込みを露わにした「GIANT KILLER」。「新しい時代を見にいきたいヤツは、手を挙げろ!時代を一緒に作ろうか!“俺ら”を止めてみろ!」と昴が叫びあげ、いつしか定番と化したシンガロングからのスタートに加えて、クライマックスには「俺らと一緒に来い!おもしれぇもん見せてやるよ。下剋上、その先へ!」とラスサビへ突入した瞬間に銀テープが宙を舞い、畳みかけるように感情を爆発させていった。
「今日が終わればまたいつもの日常に戻り、日常で“戦う戦士達”となり、またそれぞれ僕らは何かのフリをして生きていくのだと思います。〈ありのままに生きていて大丈夫〉、俺はこの言葉が大嫌い。ありのままで受け入れてくれる優しさなんて、そこまで優しい人なんておらんと思ってるから、俺はその言葉が好きじゃない。それぞれが何かのフリをして生きていかなあかんと思う。お互いやり切ろう。何かのふりをしていたら、それになれるかもしれない。そう願って、なんとか生きていきましょう。よろしくね。だから最後、愛を込めて心から贈ります――戦うあなたへ、いってらっしゃい」(昴)
こうして、最後に披露されたのは「AFTER LIFE」。“戦う戦士達”と、「TRANSFORM」にも登場するフレーズを用いながらメッセージして届けたこの日の「AFTER LIFE」は、嘆きを達観したことで得られる希望を感じさせるものだった。何かのフリをすることで自分自身を見失い嘆くのではなく、それを逆手に取るように、何かのフリをしていたらそれになれると、そんな風に発想を転換できるようにRoyzは変わり続ける時代の中で心を成長させてきたのだ。
昴自身が最近の口癖だと話してた、「俺を止めてみろ!」という言葉。実際にライブ中も「“俺ら”を止めてみろ!」として何度も言い放っていたが、これもまた逆説的に、自分たちの時代を作るという自信と、それができる勢いと自覚を持っていることを表していたとも言える。この日、新たな発表として杙凪と公大それぞれの生誕祭、昴のソロライブ、WINGS(FC)限定ライブに加え、6月・7月と二ヶ月連続リリースの決定が続々と発表された。さらに、青から“気合い”を示す赤へとトランスフォームした、新ヴィジュアルも解禁。すでに発表されている通り、7月からは『幻影都市から愛を込めて』ツアーのFORM Ⅱが控えている。今回のFORM Ⅰは、根本から生まれ変わることを意味する“メタモルフォーゼ”ではなく、夢や愛、楽しいことを純粋に楽しむといったRoyzにある根本をそのままに変わることを意味する“トランスフォーム”の意義や大切さを実感させるライブを繰り広げた。さて、次なるは9月26日にLINE CUBE SHIBUYAで迎える16周年記念公演へ向けてのFORM 2。ここでは一体、どんな姿へと進化を遂げるのか? ただ今胸の内にあるのは、「おもしれぇもん見せてやる」と約束してくれた絶景への期待しかない。

レポート・文◎平井綾子
写真◎Kyoka Uemizo
SET LIST
1. 月光
2. TRANSFORM
3. 阿修羅
4. メイズギア
5. VENOM
6. 洗礼
7. Emotions
8. 胡蝶蘭-ファレノプシス-
9. 紫苑
10. 純情キャットライン
11. RAIZIN
12. 怪物行進曲-モンスターマーチ-
13. KAMIKAZE
14. キュートアグレッション
15. Eva
EN-1. 丸の内ミゼラブル
EN-2. ACROSS WORLD
EN-3. GIANT KILLER
EN-4. AFTER LIFE
LIVE
Royz ONEMAN TOUR 「幻影都市から愛を込めて」-FORMⅡ-
2025年
7月13日(日) 【茨城】mito LIGHT HOUSE
7月20日(日) 【神奈川】新横浜 NEW SIDE BEACH!!
7月21日(月・祝)【埼玉】HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
7月26日(土) 【栃木】HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
7月27日(日) 【千葉】柏PALOOZA
8月01日(金) 【静岡】浜松窓枠
8月02日(土) 【愛知】名古屋JAMMIN'
8月05日(火) 【岐阜】岐阜CLUB ROOTS
8月07日(木) 【石川】金沢AZ
8月10日(日) 【滋賀】滋賀U★STONE
8月11日(月・祝)【京都】KYOTO MUSE
8月14日(木) 【岡山】岡山YEBISU YA PRO
8月16日(土) 【福岡】福岡DRUM Be-1
8月20日(水) 【香川】高松DIME
8月22日(金) 【兵庫】神戸VARIT.
8月23日(土) 【大阪】梅田CLUB QUATTRO
8月30日(土) 【宮城】仙台darwin
9月02日(火) 【青森】青森Quarter
9月06日(土) 【北海道】札幌SPiCE
9月07日(日) 【北海道】札幌SPiCE
-GRAND FINAL-
9月26日(金)【東京】LINE CUBE SHIBUYA~Royz 16th Anniversary~
昴Special Solo LIVE
「星の降らない夜には、」-第三夜-
2025年6月8日(日)【東京】SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
Royz WINGS限定 ONEMAN LIVE 「ろいずの日~キラキラ曲限定GIG~」
2025年6月12日(木)【東京】下北沢シャングリラ
Royz ONEMAN LIVE 「公大生誕祭2025 〜渋谷バイオレンス劇場〜」
2025年7月4日(金)【東京】Veats Shibuya
Royz ONEMAN LIVE 「杙凪生誕祭2025〜杙凪ってご存知?〜」
2025年7月5日(土)【東京】渋谷ストリームホール
関連リンク
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