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【vistlip・智(Vo) × 甘い暴力・咲(Vo)】◆独占対談企画◆2024年6月8日(土)<vistlip presents[Party On]>大阪Yogibo META VALLEY 2マンに向けて両雄初対談!
魂込めてるのなんて当たり前
────2月25日に新宿BLAZEで開催されたvistlipのワンマンの時に今回の2マンの企画が発表されて、お客さんのリアクションもとても大きかったじゃないですか。恐らくこの2バンドが一緒にやるんだっていう驚きもあったと思うんですよ。
智:うんうん。びっくりはしてましたね。きっとそれは意外性なのかな。自分たちのファンが甘い暴力のライヴに通ってるのかまでは判らないけど、以前DEZERTと2マンツアーやった時と似てて。そことやるんだっていう…これバンドカラーだけじゃなくて、vistlipが交わって来なかったバンドとやる事が関係していると思います。あぁ、そういうスタンスも打ち出していくんだって。それが今の時代を担うあまぼうですからもちろん喜んでくれたんじゃないかなと思いますけどね。vistlipは、意味のないことはしたくないっていう頑固なバンドでもあるので、そんな中、是非一緒にやりたいと感じたバンドです。あと喜んでいるお客さんもたくさんいたので、そこはすごい嬉しかったですね。
▲智(vistlip)
咲:うちもあの大先輩とやるんだっていう驚きもありつつ、ファンも喜んでくれていると思います。ただ、今回のvistlip兄さんだったり、先輩とやるときっていうのはいずれにしても、先輩後輩関係なく、自分が感じ取る音楽やライヴに対する情熱とか気持ちとかそういうものを大切にしてます。動員とか知名度とか関係なく、この人が声かけてくれるんだったらやりたいなっていう方が個人的には強い。もちろん話題性とかそういう部分の考えも大事にしていかなきゃいけないですけど、自分が優先して考えるのは、音楽で共感できるか。先日、江坂MUSEでvistlipのライヴを拝見させていただいたんですけど、智さんの歌の正確さとかがこのキャリアでもまだレベルアップしてるんですよ。スゴイっすよ。これはもうバンドマンではなくギャ男の意見なんですけど。
智:アハハハハ。
咲:歌の力でダイレクトに抉っていくのがヤバくて。でも、バンドマン目線としては“うわ、怖いな…”とも思います。だからこそ、僕は一緒にやらせていただくこと自体がすごく光栄。大切にしているのが音楽と歌っていう点では、vistlip兄さんも本質的には甘い暴力と変わらないんじゃないかなって思ってるし。感謝です。
智:でも咲くんもライヴだとすごい激しいですし、パワーがありますよね。甘い暴力って謎めいてる部分もあるけど、本質的には力強いバンドで、力強さの方向っていうのは、ウチとはまた違う感じ。激しさの中でお客さんを楽しませる力も持ってて、俺からしても怖さは感じるし、それが楽しい存在なんですよ。なんかね、今の世代のバンドはみんなすごいなぁと思う。俺らの世代ってなんだろう?楽曲の力に重きを置いてて、それはいわゆる王道や正統性が強くある時代だったんで。そこから色々と変遷があって、今はそれぞれの個性が際立ってるバンドが多いですよね。尚且つみんなパワーがあるなって感じてます。
────確かに今、甘い暴力のフォロワーというか、憧れてそういうスタイルをやってるんだろうなっていう若いバンドが散見され始めていて、良い傾向だなと思う一方で、vistlipみたいにその存在とか音楽、曲だけで全て成立させてしまうような強度の若いバンドって現れてるのかな?っていうのも気になります。
智:俺ら世代のバンドをリスペクトして、そういう話をしてくれる子もいっぱいいるんですけど、なんか結構俺はなんか今の世代のバンドが凄いなって思っている派なんですけどね。一生懸命考えて、自分を磨いてるんだろうなっていうのが実力にも表れていると感じるし、むしろ普通にリスペクトしてます。
咲:最初は誰でも模倣から始まるんで、そこから時間かけて自分なりのオリジナリティを構成していけばいいんじゃないかなと思うんですけど、一個自分自身が今すごく痛感していることがあって。アンダーグラウンドの世界であろうが、メインストリームであろうが、先ほど智さんが言った“正統性”がないとダメだよっていうことは感じてる。それがないと結局大きいシーンやステージに行ったときに戦えないっていうのを、自分が今のバンドを始めて1年ぐらい経ったときに感じ始めて、そこから歌の基礎力、演奏の基礎力は大切にしてます。僕は偉そうに言えないですけど、例えば甘い暴力のようなバンドを模倣するとしたら、世界観の表層的な部分に目がいきがちじゃないですか?けど、表層的な部分からは中心部はなかなか見えなかったりする。そういった根本的な思想は、vistlip兄さんであったりそういう世代でちゃんとやってきている人たちの魂や考え方とか、根幹的な部分をもっと吸収していくべきなんじゃないかなって僕は思いますよ。
▲咲(甘い暴力)
────土台があってこそ。
咲:そうです。だから、簡単に一言にまとめたら「演奏と歌がうまくなることが一番大事だよ」ってことです。
智:本当その通り。演奏と歌って多分終わりなんてなくて。歌も楽器もやり続けないと錆びついていくし、それ以上っていうものは生まれていかないから、一生懸命独自で突き詰めたいならそれでもいいと思うけど、誰かの知識をもらうでもね、素晴らしい先輩方いっぱいいますから、そういう方々に相談するでもいいし、せっかくこういうバンドシーンに飛び込めてるわけだから、ストイックに吸収するべきですね。色んな繋がりがあって今は昔より先輩方と会えると思うから、技術とかはもう遠慮なく聞いていった方がいいかな、と。遠慮したら負けぐらいの世界だと思うから貪欲になることですよね。例えばボイトレ行って結果合わなくてお金ドブに捨てたなとかでもいいと思うし。それもまた経験なんで努力してやるしかない。
咲:そうですね。めっちゃ思います。
智:いつの時代も音楽に技術は絶対に必要だと思うんで。魂込めてるのなんて当たり前じゃないですか。それを表現する力がないと届かないとは思うから。僕は今もこれからも練習して行きたいですね。
────表層ではなく深層に触れた先の世界ですよね。
咲:本当に智さんが仰ってるように技術であったり、この人たちがやるから間違いないんだっていう最高のメニューを届け続けるっていうことが大事だと思いますね。
────私自身も勉強になったというか、包容力vs攻撃力みたいな構造を頭には浮かべていたのですが、それこそ表層で、この2マンの醍醐味はそこではなく、異なる音像と似た思想による近い座標での接近戦でもある。
智:世代はどうしても異なりますけど。バンドとしてはやっぱそうなりますね。うちももう17周年ですから。でも、裏側では人として対等だし、お互いに勉強できることを見つけて楽しくやれればいいかなと思ってますけど。