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【Rides In ReVellion・黎(Vo)× nurié・大角龍太朗(Vo)】Rides In ReVellion9周年<7・26 BIG CAT主催 反抗声明>、nurié5周年<7・29日Vests SHIBUYAワンマン>。関西シーンの盟友、黎と大角龍太朗の動機と思考、そして絆を徹底解剖。
僕、nuriéに対してもっとこうした方が良いのにとか全然ないんですね。 / 黎
黎ほど上手いヴォーカルなかなかおらん / 大角龍太朗
────最近、nuriéのライヴは攻撃的になったというか、なんか掴んだように空気感が変わったようなイメージがあるんですよ。
大角:僕の感覚的には“変わった”より“戻った”に近いですかね。エンターテイメントとしての楽しさを提供しようっていう部分に注力してたのが、自分たちのやり方こうじゃないよなとか、僕の言葉とか僕たちの音に対してファンが求めているものってそうじゃないよなとか色々考えました。そんな時期に改めて孤独が必要やっていう部分には落ち着いて。ファーストシングルを出したときのことを思い出すと、その孤独とか自分が抱えている劣等感に対して共感をしてくれた人たちがファンになってくれてバンドが動き出したと感じて…………うん、なんか今のハッピーな僕は求められてないんじゃないかなって。
────最近のハジけた姿にも魅力はありますけどね。お友達が増えても良いと思いますし。
大角:最近の自分を全否定するつもりではないんですけど……そうやな、やっぱり劣等感なんですよね。求められてないと感じてしまいます。だとしたら、その劣等感を纏ったものがnuriéとしての姿勢なんじゃないかな。結局これやなって腑に落ちたんです。
────いつも悩んでるバンドだっていうイメージは確かにあるんですよ。真面目な3人だから。
黎:逆に俺からするとバカばっかりやってるイメージもあるんですよ。でも、俺1人でnuriéの会話の輪に入ると、意外と真面目なんやなみたいな。役割とか決め事とかをしっかり考えて決めとって。すごく良いなって思うのが、ビジネス的な部分もちゃんと考えられてる。そういう意味では良いチームやなと思いますねnuriéは。学生ノリ、友達ノリだけでやるバンドもいるだろうし、かたやビジネスライクのバンドもいると思うんですけど、そこのバランス感覚がnuriéはすごい上手だし、何よりヴォーカルの大角に対してのリスペクトをメンバーみんなが持っている。めっちゃええ構図やなと思いますね。
────龍太朗さんから見てRides In ReVellionはどんなバンドですか?
大角:どうしてもヴォーカルに目が行くんですけど、黎は孤独な人なんやろうなってわかる。それが5人バンドの中で持ち味になってますよね。あと黎ほど上手いヴォーカルなかなかおらんし、歌と言葉に対して説得力あるんで凄いと思ってますよ。あれだけテクニックある楽器隊の中心で歌ってるんで。
黎:9年やってるとバンドとしてのスタンダードがあって、その枠の中で出来ることの範囲はしっかり守りつつ、いかに自由に表現するかみたいな…ここが最近の僕らの課題ではあるんですけどね。最初の頃から絶望の中に希望を見出すことを糧にしているので、この先もそのメッセージを磨き続けていけるバンドであれたらいいなと思ってます。
────ただ、この10周年へ向かうこのタイミングでRides In ReVellionって勢いが増してると思うんです。恐らくそれはバンドが上昇志向を保っていってるからで。
大角:ほんまに9年、10年続けられんのってすごいなぁって思います。メンバー編成はちょいちょい変わったりはしてるけど、今の形が元からの形なんやぐらいの説得力もエグいし。あと僕が見てて思うのが、ライズもキャリア的には落ち着いていくはずんなんでしょうけど全然落ち着かない(笑)何ならライズは今が一番勢いあるんちゃいます?自分らもそうしたいけど、なかなかどうしたらいいのかわからん部分とかもあったりするんで。仲良いけど、バンドとしてはその姿勢にリスペクトがあります。
────黎さんはRides In ReVellionの5年目あたりってどんな感じだったかとかって覚えてます。か?
黎:あぁ、でもちょうどコロナ禍だったんですよ。あとメンバーが1人抜けたっていうのもあって、正直どう活動したらいいかわからん状態でした。そこで諦めなかったのは間違ってなかったなとは思います。
────アプローチも模索する時期でしたよね。
黎:視点を変えざるを得なかったので、YouTubeだったり、臨機応変に知ってもらう間口を広げていきました。その時ちょっとメイクは薄くなっちゃってたんですけど。バンドの持つコンセプトとかテーマは守り抜きながら、それを発信する手法を考えた時期ですね。
────Rides In ReVellionにも模索する時期があったんですね。一方、nuriéも常に模索しているバンドですが、時に間違ったとしても<模索している=諦めてない>でもあると思うんですよね。人によってはブレてるようにも見えるリスクを背負いながら。
黎:そうですよね。だから僕、nuriéに対してもっとこうした方が良いのにとか全然ないんですね。正直もうめっちゃいいバンドやなぁとしか思ってなくて。でも、今って難しいじゃないですか。例えば、箱を選ぶにしてもキャパを上げた方が良いのか、下げるのかってあると思うんですけど、無理し続けてもやっぱしんどいと思う。ただ、ずっと停滞したように見えちゃうのも問題ではある。それでいうと正直nuriéに関してはなんだろうな…でかい勝負をしてほしいとかはあんまりなくて。まあタイミングがあれば勝手にすると思うんですけど、もっと広く知られるために堅実にやっていってほしい。なんか博打みたいな感じのライヴの打ち方しちゃうことも多分あるとは思うんですけど、nuriéはやってること間違ってないんですよ。このまま真面目にやっていれば絶対いつか実を結ぶ。どこかで何かに見つかって、ほっといても大きくなるはず。
────葛藤と焦りは別物ですものね。
黎:そうです。やってることは間違ってないから、それを続けられる環境でね、健康にやってほしい。さっき孤独も必要だって言ってたんですけど、孤独が必要だって言えるぐらいの安心感と、満たされているその現実は抱きしめてほしい。
大角:………今言ってくれたこともそうですけど、前、山内さんにも話したじゃないですか、バンドの話を。
────未来の話ですよね。
大角:うん。なんか黎にこんなにも見透かされてるのかと思って。今ちょっと普通に感動したっすね。ありがとうな。